Appをアップデートしてユーザーを引き付ける

Appを定期的にアップデートすることで、App Storeにおける競争力を維持しやすくなります。アップデートをリリースするたびに、既存のユーザーに再度Appの魅力を伝え、新規ユーザーを引き付けることができるからです。ここでは、さまざまなデベロッパがAppのアップデートをどのように計画して実行し、マーケティングを行っているかをご紹介します。

ロードマップを策定する

多くの場合、App Storeで成功しているAppのデベロッパは、初回リリースの後を見据えたロードマップを策定しています。ソーシャルミュージックAppの「Sing! Karaoke」「AutoRap」「Magic Piano」を開発しているSmule社は、機能のメジャーアップデートをリリースする数か月前からプロトタイプを作成するとともに、少なくとも1か月に1回はパフォーマンスのマイナーアップデートをリリースしています。Smule社の製品最高責任者兼チーフデザインオフィサーであるJeannie Yang氏は、「ユーザーに長く使い続けてもらうには、どうしたらよいでしょうか?それは、より良い製品を開発することです。より良い機能や、何度も使いたいと思ってもらえる理由を生み出すのです」と述べています。

BuzzFeed社では、ユーザーのフィードバックによりよく対応できるよう、「BuzzFeed」や「BuzzFeed News」のロードマップを四半期ごとに策定しています。BuzzFeed社のモバイルエンジニアリング担当バイスプレジデントであるRyan Johnson氏は次のように述べています。「「当社では、おおよそ3か月先を見据えて戦略を立てています。これは計画を策定するという観点でも、新しくリリースされるAPIや最新データ、業界の変化といった新たな事象に対応する柔軟性という観点でも、ちょうど良い間隔になります」

Johnson氏はまた、「最先端のユーザー体験を提供することは、私たちにとって非常に重要です。そのためアップデートをiOSのリリースやハードウェアのリリースに合わせる必要があります。当社のユーザーの多くはアーリーアダプターで、最先端のテクノロジーにとても関心のある方もいます。それで、『私たちがAppに投資していることをユーザーが実感できるようなものを提供しているだろうか?』と考えるようにしています」とも述べています。

最先端のユーザー体験を提供することは、私たちにとって非常に重要です。そのためアップデートをiOSのリリースやハードウェアのリリースに合わせる必要があります。

BuzzFeed社のモバイルエンジニアリング担当バイスプレジデント、Ryan Johnson氏

ユーザーはこのAppを楽しんでいるか。このAppはユーザーの生活をさらに生産的なものにしているか。ユーザーの生活をさらにサポートするため、どのような機能が追加できるか。

Slack社のシニアエンジニアリングマネージャー、Brady Archambo氏
BuzzFeed Newsでは、App Storeのプロダクトページに掲載するスクリーンショットを用いて、新しい機能がどのように動作するかをユーザーにわかりやすく伝えています。

アップデートを告知する

機能のメジャーアップデートを告知する際、デベロッパは毎回App Storeのプロダクトページ、ウェブサイト、ソーシャルメディアアカウントといった複数のチャネルを活用することができます。

たいていはApp Storeの「新機能」のセクションで、変更点を新規および既存のユーザーに通知します。フィードバックやレビューに基づいて機能を追加または修正した場合は、ユーザーの声を反映したことを直接伝える機会になります。経験豊かなデベロッパは「新機能」のセクションを活用してブランドのアイデンティティを発信し、技術的な事柄だけでなくAppの内容そのものを伝えます。

Yang氏によれば、Smule社の「新機能」欄のスクリーンショットは、ユーザーによってソーシャルメディアでよく共有されているとのことです。「『新機能』は単なる箇条書きではなく、ユーザーに向けたメッセージであり、起きていることをユーザーに発信しているのです」とYang氏は述べています。

『新機能』は単なる箇条書きではなく、ユーザーに向けたメッセージであり、起きていることをユーザーに発信しているのです。

Smule社の製品最高責任者兼チーフデザインオフィサー、Jeannie Yang氏

Archambo氏によると、Slack社では単に「バグ修正と機能向上」と記すのではなく、変更内容の詳細を説明するよう努めています。「基本的に、まず当社のiOSチームとQAチームが修正した機能とバグの一覧を作成して、そこから編集チームが作業します。編集チームの手にかかると、貧弱だったリリースノートがずっと良いものに変わります」とArchambo氏は述べています。

Slack社では、App Storeの「新機能」のセクションを効果的に活用しています。

BuzzFeed Newsの編集チームでも、同様の方法で技術的な内容をもっと魅力的な説明に変えるようにしています。「ある意味では、App Storeの『リリースノート』や『説明』はApp自体のブランディングの延長と言うことができます。そして、リリースしたばかりのアップデートをユーザーに紹介する機会でもあります」とJohnson氏は言います。

アップデートに伴ってスクリーンショットやAppプレビューを更新し、新しい特長や機能を際立たせることもできます。アップデートの範囲やA/Bテストの結果によってAppアイコンを更新するデベロッパもいます。

Smule社では、リリースに合わせてAppアイコンを定期的に更新することで、Appがアップデートされていることをさりげなくユーザーに伝えています。祝祭日、文化行事、新製品の発表などは、どれもユーザーの生活にアップデートを関連付けるチャンスとなります。「ほんのわずかな変更でも、何か新しいものがあるとユーザーに期待してもらえます」とYang氏は述べます。新しいアイコンを見てAppを開き、新機能や改良点に気付いたユーザーは、Appをまた頻繁に使用するようになる可能性があります。

ここで紹介したデベロッパは、App Storeだけでなく、ウェブサイトやソーシャルメディアアカウントといった自身のチャネルでもアップデートをプロモーションしています。BuzzFeed社のJohnson氏は、「アップデートの規模や追加する機能によっては、当社の既存のソーシャルメディアアカウントすべてを使って新機能のプロモーションを展開する場合があります。1.0から2.0に更新されるようなメジャーアップデートであれば、ウェブサイトやソーシャルメディアアカウントで発信するなど、最大限のプロモーションを行います。一方、小規模な機能アップデートであれば、より限定した一部のアカウントで発信するか、わずかな部分に絞ってプロモーションするにとどまります」と述べています。

取り上げたデベロッパの紹介

Smule

カリフォルニア州サンフランシスコ

取り上げたApp:Sing! Karaoke、Magic Piano

カテゴリ:ミュージック

プラットフォーム:iOS、tvOS

App Storeで見る

BuzzFeed

ニューヨーク州ニューヨーク

取り上げたApp:BuzzFeed、BuzzFeed News

カテゴリ:ニュース

プラットフォーム:iOS、watchOS

App Storeで見る

Slack Technologies

カリフォルニア州サンフランシスコ

取り上げたApp:Slack

カテゴリ:仕事効率化

プラットフォーム:iOS、macOS、watchOS

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