設計における原則

外観の整合性

外観の整合性とは、アートワークの美しさの尺度でも、スタイルを特徴づけるものでもありません。外観や動作が機能と調和し、一貫していることを言います。

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ユーザは、本来の機能が正しく実装されているかを気にしますが、同時にその外観や動作にも強く(時には潜在意識下で)影響を受けます。たとえば、重要な処理を行うアプリケーションは、ユーザが作業に集中できるよう、装飾は控えめで邪魔にならないようにし、動作が予見できるよう標準的なコントロール部品を使います。アプリケーションの目的や素性について、明確で一貫したメッセージが伝われば、信頼感も生まれるでしょう。逆に、押しつけがましい、軽薄な、あるいは場当たり的なUIにより、伝えられるメッセージがばらばらであれば、信頼性に疑問を抱くかも知れません。

一方、ゲームなど没入型のアプリケーションの場合は、華やかで何か発見がありそうな外観を期待するでしょう。ゲームには、まじめで生産的な作業ではなく、見た目や動作が目的に合っていることを求めるのです。

一貫性

アプリケーションのUIに一貫性があれば、ある部分に関して得た知識や技能を、別の部分でもそのまま活かすことができます。他のアプリケーションの猿まねでも、何の工夫もない設計というわけでもありません。ユーザに満足を与えるような標準やパラダイムに注意を払い、一貫した動作にするということです。

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iOSアプリケーションが一貫性の原則に従っているか、次の観点から検討してみましょう。

直接操作

画面上のオブジェクトを、他のコントロール部品を介さず直接操作できれば、操作の意味や得られる結果を容易に把握できるでしょう。

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「マルチタッチ」インターフェイスが利用できれば、たとえばピンチ操作で直接、画像やコンテンツ領域を拡大するようなことが可能です。ゲームでもやはり、画面上のオブジェクトを直接動かしたり操作したりしたいものです。たとえばダイヤル錠は、指で直接回して開けたいでしょう。

iOSアプリケーションのユーザは、次のような場合に直接オブジェクトを操作します。

フィードバック

フィードバックには、アクションを受け付けた旨を知らせ、結果を見せ、進捗状況を更新するなどの働きがあります。

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iOSの組み込みアプリケーションは、アクションに応じて、直感的に分かりやすいフィードバックを返すようになっています。リスト項目やコントロール部品は、タップ操作をすると一瞬強調表示になります。数秒以上かかる処理であれば、どこまで進んだかを表示するようにもなっています。

ちょっとしたアニメーションは、ユーザのアクションがもたらした結果を理解しやすくする、意味のあるフィードバックをユーザに与えます。たとえば、リストでは、ユーザが変化を視覚的に追いやすくなるよう、新しい行の追加をアニメーション化できます。

音声も有用なフィードバックになりますが、聞ける状態になっているとは限らないので、これだけをフィードバックとして使うことは避けてください。

メタファ

アプリケーションの仮想オブジェクトやアクションが、現実世界やディジタル世界におけるオブジェクトやアクションのメタファになっていれば、ユーザは使い方を即座に理解できます。

もとになっている現実世界のオブジェクトやアクションの制約を課すことなく、使い方を連想させるようになっているのが理想です。

iOSアプリケーションは、ユーザが物理的に画面を操作できるので、さまざまなメタファを利用できます。たとえば次のようなメタファです。

ユーザによる制御

アクションを起動、制御するのは、アプリケーションではなくユーザの側です。アプリケーションは、アクションの帰趨を示したり危険を警告したりすることはあっても、意思決定まで行うことは通常ありえません。優れたアプリケーションは、必要な作業の手段を与えると同時に、望ましくない結果を回避できるよう手助けするだけです。

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動作や制御方法が分かりやすく、結果も予測できるアプリケーションであれば、ユーザはこれを自在に操っていると感じるものです。単純で直感的なアクションであれば簡単に使いこなせます。

ユーザは、処理が開始される前にその処理をキャンセルする十分な機会があることを期待し、害を及ぼす可能性のあるアクションを実行する意思を確認する機会が得られることを期待します。最後に、ユーザは、進行中の処理を支障なく停止できることを期待します。