安全で年齢に適したアプリ/ゲーム体験のデザイン

Appleは、ユーザーのエンパワメントを促し、生活を豊かにするテクノロジーを生み出しながら、特に子どもやティーンエイジャーのオンラインでの安全性を確保し、プライバシー保護に貢献することを目標に掲げています。Appleのプラットフォーム全体に展開できる、業界トップレベルの機能を活用して、アプリやゲームで年齢に適した体験を提供し、プライバシーを保護する方法を学びましょう。

    デベロッパフレームワーク

    Declared Age Range アップデート

    保護者は、お子様用アカウントに関連付けられた年齢範囲をお子様がアプリのデベロッパと共有することを許可できます。デベロッパはDeclared Age Range APIを使用し、子どもの年齢範囲に基づき年齢に適したコンテンツや体験を提供できます。ほとんどの地域で、保護者は子どもに適した共有オプション(常に共有、最初に尋ねる、しない)を選択することもできます。プライバシー保護のため、子どもの実際の生年月日は提供されません。また一部の地域では、法律に規定される要件に基づき、ユーザーの年齢制限指定および年齢確認方法(クレジットカードや政府発行の身分証明書など)に関するシグナルと、アプリに大幅な変更があった場合に同意が必要かどうかに関するシグナルもデベロッパに送信されます。

    PermissionKit アップデート

    PermissionKitを使用すると、子どもがコミュニケーションを取る相手が誰なのかについての監督や、特定の機能の使用に対する同意を保護者が行うことができ、子どもの安全性が向上します。このフレームワークを利用することで、子どもがアプリやゲーム内でほかのユーザーとコミュニケーションを取る際に(チャット、フォロー、ほかのユーザーの追加のリクエストなど)、保護者に許可を求める手順が可能になります。保護者は、自分のデバイスのメッセージ上でワンタップするだけで、リクエストを簡単に承認できます。

    SignificantChange:アプリに対する特定の種類の変更は、一部の地域の年齢確認の法令に規定される大幅な変更と見なされる可能性があります。これらの該当地域では、子どもがアプリまたはその機能を引き続き使用するには、保護者の同意が必要になります。Significant Change APIを使用すると、保護者の同意を求めるよう子どもに促す通知を表示し、同意が得られるまでアプリや機能の利用を制限することができます。

    SensitiveContentAnalysis

    画像や動画に含まれるヌードの有無を検知し、画面に表示する前にユーザーに警告して、アプリやゲームをより安全に体験できるようにします。アプリやゲームでSensitiveContentAnalysisフレームワークを使用すると、画像や動画にセンシティブなコンテンツが含まれていないかどうかを、ユーザーに表示される前、またはユーザーが送信する前にチェックできます。さらに、デベロッパはビデオ通話アプリ内のヌードの有無を検知し、リアルタイムでの介入を促すこともできます。

    スクリーンタイム

    スクリーンタイム体験の提供

    スクリーンタイムを使用すると、保護者は、子どもがデバイス上のアプリやWebに費やした時間を確認したり、画面から離れる時間のスケジュールを設定したり、アプリの使用時間に制限を設けたりできます。Webブラウザやアプリ内WebビューなどからWebコンテンツにアクセスできるアプリでは、ScreenTimeフレームワークを使用して、家族が健康的なデジタル習慣を身につけられるようサポートできます。このフレームワークにより、次のことが可能になります。

    • 子どもがアプリやゲームからアクセスしたWebサイトを共有します。この情報はスクリーンタイムレポートに表示されます。
    • 保護者がスクリーンタイム設定で許可または制限しているWebサイトを検知し、アプリやゲームがそれに応じて対応できるようにします。
    • アプリやゲーム内でブラウザの履歴を削除できるようにし、ユーザーのプライバシーを強化します。

    カスタムペアレンタルコントロール体験

    さまざまなフレームワークを活用し、保護者が子どものデバイスの使用状況を管理できるようにするカスタム体験を構築します。

    DeviceActivity:特定のアプリまたはアプリカテゴリの使用時間と頻度に関するインサイトを取得します。使用時間の上限に達した場合、就寝時間に適した体験を提供したり、使用状況に応じて通知を送信したり、子どもがアプリやWebサイトにアクセスできないようにしたりするなど、アプリやゲームで子どもに配慮した対応を取ることができます。プライバシーを保護しながら、デバイスの使用状況に関するレポートを提供することもできます。

    ManagedSettings:子どものデバイスの特定の設定や機能へのアクセスを保護者が制限できるようにします。保護者の許可があれば、アプリのインストールを制限したり、パスコードを変更できなくするといった行動ルールを適用して、デバイスの操作をより安全で焦点を絞ったものにできます。

    FamilyControls:ペアレンタルコントロールを適用するための承認をリクエストします。承認されると、保護者は特定のアプリ、アプリカテゴリ、Webサイトへの子どものアクセスを、アプリまたはゲーム内ですべて管理できるようになります。

    コンテンツ制限

    メディアレーティング

    保護者が子どもにとって適切だと考えるメディアのレーティングを組み込みます。これにより、DeviceActivityでのモニタリングや、FamilyControlsでのアプリの承認を必要とせずに、保護者が指定したパラメータに基づいて、アプリを使用する子どもに適切なレーティングの映画やTV番組を表示することができます。

    アプリの年齢制限

    アプリやゲームを提出する際は、そこに含まれるセンシティブなコンテンツの種類、出現頻度、子どもに表示されるコンテンツの種類に影響する特定の機能の有無について情報を提供する必要があります。この情報に基づいて、Appleはアプリの年齢制限を適切に指定し、App Storeのプロダクトページに表示します。年齢制限は、アプリやゲームのダウンロードにあたり推奨される最低年齢を表しています。地域によってはアプリに求められる年齢制限が異なる場合があるため、当該地域の法律を理解しておきましょう。

    3つの年齢制限が新たに導入され、アプリやゲームに適した年齢をより細かく保護者に示せるようになりました。また、App Store Connectで年齢制限を設定する際のワークフローが更新され、ペアレンタルコントロール、メッセージ機能や広告の有無など、アプリやゲーム内の主要なコントロールや機能を簡単に指定できるようになりました。入力した回答に基づいてアプリやゲームに適した年齢制限が算出されますが、必要な場合はより高い年齢制限を設定することもできます。

    年齢

    4+

    年齢

    9+

    年齢

    13+

    年齢

    16+

    歳以上
    年齢

    18+

    App Storeでの配信

    App Storeは、子どもを含むすべての人にとって安全で信頼できる場所になるように設計されています。Appleでは、保護者が子どもに適したアプリ、ゲーム、コンテンツを判断できるようさまざまな機能を提供し、安全で楽しく、充実した体験を創出しています。

    「子ども向け」カテゴリ

    App Storeの「子ども向け」カテゴリでは、11歳以下の子どもを対象としたiPhoneやiPad向けのアプリやゲームを簡単に見つけることができます。保護者は「子ども向け」カテゴリのアプリやゲームが対象年齢に適したもので、子どものデータを保護するものであり、子どもによる特定のアクションを防ぐためのペアレンタルゲート機能が実装されていると理解できます。

    子ども向けアプリでは、保護者の明示的な同意がない限り、個人を特定できる情報やデバイスの情報(大人向けのセクションであっても)をサードパーティに送信することはできません。アプリやゲームに広告が含まれる場合、そのコンテンツを表示するには、年齢に適切かどうかを人間が審査する必要があります。

    アプリやゲームを「子ども向け」カテゴリに表示させるには、次のことを行う必要があります。

    • App Store Connectで年齢層を選択する:アプリやゲームが適している年齢層を5歳以下、6〜8歳、9〜11歳から選択します。
    • App Reviewガイドラインに従う:アプリがApp Reviewガイドラインに準拠していることを確認します。子ども向けアプリでは、ガイドライン1.3およびガイドライン5.1.4にも従う必要があります。
    • ペアレンタルゲートを提供する:これらは大人向けのタスクであり、アプリやゲームを引き続き使用するために実行する必要があります。ペアレンタルゲートは、許可なくアプリ内課金を購入したり、当該のアプリやゲーム外のコンテンツ(外部のWebサイト、SNS、その他のアプリなど)へのリンクにアクセスしたりするなど、子どもが保護者の知らないうちに特定の行動を取れないようにすることが目的です。読み書きを学ぶ前の子どもを対象にしたアプリでは、保護者による操作が必要であることを子どもにボイスオーバーで伝えるという方法を取ることもできます。
    ペアレンタルゲートタスクの例。 計算が必要なペアレンタルゲートタスクの例。 質問に答える必要があるペアレンタルゲートタスクの例。

    プロダクトページ

    App Storeのプロダクトページは、保護者が子どもに適したアプリ、ゲーム、体験をより多くの情報に基づいて選択できるよう設計されています。アプリやゲームの年齢制限や、性的な意味合いを持つテーマや言葉遣いなど特定の種類のコンテンツの出現頻度が詳しく掲載されています。保護者は、アプリ内課金の有無や、プライバシーラベルを確認し、収集したデータや、その情報がトラッキングに利用されるかどうか、IDやデバイスに紐付けられるかどうかを把握できます。

    年齢制限とコンテンツラベルの更新により、アプリやゲームでペアレンタルコントロールや年齢確認などのコンテンツコントロール機能が提供されます。これにより、保護者はコンテンツが子どもに適していることを判断するために、より多くの情報を確認できます。また、アプリやゲームにユーザー生成コンテンツ、メッセージ機能、広告が含まれるかどうかも把握できるため、子どもの目に入る可能性のあるコンテンツについて理解が深まります。

    StoreKit アップデート

    StoreKitフレームワークを使用すると、デジタル商品およびサービスの購入やカスタマーサポートの利用を行うための、簡単かつ安全な方法を提供できます。

    アプリ内課金アプリ内課金を提供する場合、「承認と購入のリクエスト」を使用すると、子どもがApp Storeでアプリ内課金を購入したり、App Storeからアプリをダウンロードしたりする際に、保護者にリクエストを送信できます。保護者はリクエストの内容を確認して、承認するかどうかを決定できます。

    ageRatingCode法律を遵守するために、StoreKit内でこのプロパティを使用して、ユーザーのデバイスでアプリの年齢制限が変更されたかどうかを判断できます。変更が発生した場合は、Significant Change APIを使用して、保護者に同意をリクエストできます。

    App Storeサーバ通知 アップデート

    App Storeサーバ通知は、リアルタイムで通知を送信するサーバ間のサービスです。例えば、アプリ内課金イベントに関する通知を受け取り、その情報を使用してユーザーアカウントのデータベースを更新したり、アプリ内課金の返金をモニタリングして対応したりできます。また、保護者が子どもによるアプリの使用に対する同意を取り消し、子どものデバイスでアプリが起動しなくなった場合にも、通知を受け取ることができます。

    年齢確認

    一部の地域では、年齢に関する法的要件が適用されます。法的要件を遵守するために、上記で説明したツールのサポートまたは実装が必要になる場合があります。これらのツールでは、年齢制限指定に関する情報の取得、大幅な変更が発生した際の同意のリクエスト、子どもによるアプリの使用に対する同意を保護者が取り消した場合の通知の受信などを行うことができます。