ハローキティが再びtvOSに
癒しの要素が満載の『Hello Kitty Island Adventure』は、オープンワールドの冒険をほっこり楽しめるゲームです。プレイヤーは島をかつての姿に戻すため、謎を解き、優しさを広め、サンリオの世界が息づく、忘れ去られたさまざまな場所を探索します。
ボルダーを拠点とするスタジオSunblinkの2作目『Hello Kitty Island Adventure』には、キュートなキャラクター、定期的なコンテンツリリース、ファン層に向けた頻繁かつ意識的なアピール、tvOSでポップさが際立つビジュアルスタイルなどが詰まっていると、最高製品責任者のChelsea Howe氏は言います。
「このゲームはiPhoneならかわいく遊べて、Apple TVなら息をのみます」とHowe氏は言います(現在、シナモロールグッズの膨大なコレクションの前に座っています)。「アニメーション、音楽、効果音などを楽しむなら、Apple TVが最適です」
Howe氏のほか、マーケティングディレクターのLogan Beru氏、オペレーション担当バイスプレジデントのNicky Britt氏も交えたインタビューを敢行し、サンリオとの提携、忘れられていたハローキティのストーリーへの着目、ビッグチャレンジという名前のキャラクター(ややこしい名前です)を復活させる大きな挑戦について興味深い話を聞きました。
Hello Kitty Island Adventure
対応デバイス:iPhone、iPad、Mac、Apple TV
チームの規模:6人
拠点:コロラド州ボルダー
受賞歴:Apple Arcade Game of the Year(2023年)、Apple Design Awardsファイナリスト(2024年)
このゲームを開発する前の時点で、ハローキティの世界にどの程度精通していましたか?
Howe氏:今や言わずと知れたハローキティですが、足を踏み入れつつある世界に住むキャラクターの幅広さやストーリーの奇妙さ、ブランドガイドラインの持つニュアンスは誰もよくわかっていませんでした。開発を進めながら、さまざまなことを発見していくというのは実に興味深い体験でした。
しかし、この世界に飛び込むだけでは足りません。ファンとサンリオのキャラクターがまったく新しい方法で冒険に出る仕組みを構築する必要がありました。このブランドにはショーやテーマパーク、さまざまなマニフェストがありましたが、各キャラクターの設定や関係性について、必ずしも単一のビジョンがあったわけではありません。このように新たなレベルでファンが交流する機会を最初に提供できたのは、やはり特別なことでした。
『Hello Kitty Island Adventure』では、プレイヤーはアバターをカスタマイズして不思議な島を探索できます(ときにはぐでたまと一緒に写真を撮ることも)。
ハローキティは誕生から50年を超え、参考になる素材がたくさんあります。ゲームに盛り込む内容はどのように決めたのですか?
Beru氏:サンリオのキャラクター数は現在400を超えていると思いますが、ゲームにはそんなに多く登場しません(笑)。
Howe氏:12のメインキャラクターから始まり、今では最大20になりました。それぞれに来客がいます。ハローキティであれば、ボーイフレンドのディアダニエルなどが来客になります。新しいメインキャストキャラクターを追加するときは、サンリオのキャラクターランキングをチェックします。これは年に一度開催される人気のコンテストで、ファンはログインして推しのキャラクターに投票できます。このランキングは、時代に合ったキャラクターや、ゲームに登場させるべきキャラクターがわかるのでとても役立ちます。このようなアップデートをプレイヤーは待っています。登場させたくてもできていないキャラクターが、まだたくさんいます。
Beru氏:変化球もありました。たとえば、早い時期にビッグチャレンジというキャラクターに夢中になってしまい、サンリオに「ヤツをゲームに登場させていいですか?お願いします」と頼み込みました。
2Dのラフなタッチで描かれたビッグチャレンジという名のワニと、それにまつわる興味深いストーリーが、『Hello Kitty Island Adventure』が紡ぐストーリー全体に重要な役割を果たしました。
Britt氏:ビッグチャレンジのための文字通り1つのアート作品が作られました。1978年のことです。
Howe氏:2Dのワニの絵で、すべて大文字で「BIG CHALLENGES」という言葉が添えられています。それだけです。このワニは二度とキャラクターとして登場することはありませんでした。同僚からこの話を聞いた私たちはみな、とっさに「あのワニを連れ戻さなければならない」と言ったんです。それがゲームの核となるストーリーラインとなりました。プレイヤーはビッグチャレンジを探し、助け出さなければなりません。
Britt氏:不公平にならないように言っておくと、奇妙な名前のキャラクターはほかにもいます。フレッシュパンチは、もともとは文字通りパンチの入ったグラスでしたが、今はガムボールマシンになっています。ファンはこの奇妙でシュールな感じが好きなはずですし、私たちもそうです。
ビッグチャレンジのような、これまで2Dにしか存在していなかったキャラクターをどのように3Dの冒険世界に迎え入れたのですか?
Howe氏:ビッグチャレンジの絵は1つしか存在しません。ワニの両目が片側に描かれていて、そのまま3Dにしようとすると、ヒラメやカレイのようになってしまいます。そこで、両目がまっすぐ前を向くように、何度もイテレーションを行いました。両目が動きプレイヤーの方を向くようにしたかったのですが、最終的に片側に両目がある状態のままにすることにしました。正面から見ることができれば面白いに違いないとは思いますが、そのままでいいのです。それがビッグチャレンジですから。そんなビッグチャレンジが大好きです。
このゲームをtvOSに展開するにあたり、技術的な観点からどのような検討が必要でしたか?
Howe氏:UXの面では、tvOSは根本的に異なる体験を提供できます。このゲームはタッチファーストで設計したため、基本的な操作を再考すると同時に、2つの異なるナビゲーションスキーマを向上させる必要がありました。UIに関連して多くの作業が必要でしたが、素晴らしいメリットをすべてTVに展開することができました。このゲームは家族でプレイしてほしいです。ぜひ誰かと共有してください。コントローラによる操作が必要にはなりますが、TVの画面でプレイしてみると、それだけの価値があることがわかるはずです。
ファンに人気のシナモロールは、島の周りに小さな魔法をかけます。
どのような場面でコントローラの調整が必要でしたか?
Beru氏:思いのほかゲームで大きな部分を占めているのが「動き」です。登る、走る、浮かぶ、飛び込むといった動きをたくさんするので、コントローラで完璧に操作できるようにすることも重要でした。この操作感についてはずっと好評ですね。
最後に簡単な質問です。お気に入りのキャラクターやシーンを教えてください。
Howe:キャラクターのランキングはご存じですか?私の息子はシナモロールが一番好きです。ファン歴はもう5年ほどになりますね。
Britt氏:ぐでたまです。あのぐでぐでのたまごが大好きです。
Beru氏:私のお気に入りのシーンは、基本的にブロックを使用していたプロトタイプのときから同じで、初めて水中に潜る瞬間です。「ここには思っていたよりもずっとたくさんのことがある」と気づく瞬間なのですが、なんだか魔法にかけられたような気分になります。