『アサシン クリード シャドウズ』がMacに登場
2025年3月4日

カナダの晩冬の朝は凍えるように寒いですが、Ubisoft Quebecのオフィスは熱気に包まれています。
Ubisoftチームは、「アサシン クリード」のメインシリーズ14作目となる『アサシン クリード シャドウズ』のリリースに向けた準備に追われています。本シリーズにおいて、今作はほぼあらゆる点で進化しているといえます。舞台は16世紀戦国時代の日本。力強くも趣のあるこの時代は、ファンはもちろんUbisoftチームのメンバーも同じように待ち望んでいた舞台設定です。今作には、情熱を秘めた2人の主人公が登場します。アフリカ生まれの屈強な侍である弥助と、機敏な忍のアサシンである奈緒江。両人とも歴史的正確さにこだわって命が吹き込まれています。今作のリアルな世界は絶え間なく変化するダイナミズムによるもので、変わる天候、移ろう季節、光と影が織りなす魔法のような相互作用など、さまざまな要素が散りばめられています。
さらに、PC、コンソール、そしてMac向けに同日リリースされます。
WWDC24の基調講演で今作を発表した、UbisoftのエグゼクティブプロデューサーであるMarc-Alexis Côté氏は「このゲームをMac向けに配信することが長年の夢でした。MacBook Proを開いて、このレベルの没入感を得られるのは素晴らしいことです」と述べています。この『シャドウズ』は、Mシリーズチップを搭載したiPadでも今後プレイできるようになります。

ゲームの2人の主人公の1人である奈緒江は機敏なアサシン。最も得意とするのは、影に身を潜めながらの攻撃です。
この日、ゲームコミュニティが『シャドウズ』を初めて手にできるであろうチャンスの1つが発表されました。山小屋風の暖かみのある古材と、屋上や屋根に雪が積もるケベックシティの街並みを望む大きく開放的な窓が特徴のUbisoftのオフィスは、この記念すべき日に「アサシン クリード」のテーマ一色になっています。たとえば、弥助が操る重量級の武器の数々などが展示されており、特に13ポンドの刀の模型は目を引きます(当日展示を仕切ったのはアソシエイトゲームディレクターのSimon Lemay-Comtois氏。この類の扱いに長けているようです)。
Pre-order Assassin's Creed Shadows from the Mac App Store
Côté氏は、『シャドウズ』をチームで「最も野心的な」ゲームと呼んでいます。ゲームの広大な世界を作り上げるにあたり、Ubisoftの開発チームは、Metal 3(Ubisoftの次世代Anvilエンジンと連携)、Appleシリコン、M3およびM4を搭載したMacでのHDRサポートとリアルタイムレイトレーシングなど、Macの先進的なテクノロジー群を活用しました。Côté氏は、ゲームの没入感を生み出すうえでこれらは「革新的」だったと言います。
このゲームをMac向けに配信することが長年の夢でした。
Marc-Alexis Côté氏(Ubisoftエグゼクティブプロデューサー)
「無数のコードがMacでネイティブに動作するのを見たときの感覚は、なんとも表現しがたいものでした」とCôté氏は振り返ります。「今作のパフォーマンスを見ると、Mシリーズチップが年々右肩上がりで改良されてきたことがわかるでしょう。HDR画面でのゲームの映りなんて『これマジ?』と言ってしまうレベルです」
『アサシン クリード シャドウズ』は、テクニカルとクリエイティブのバランスがとれた作品です。テクニカル面について、アソシエイトテクニカルディレクターのMathieu Belanger氏は、Macの性能が技術的な成功の土台となったと言います。「GPUとCPUのユニファイドメモリのおかげもあって、ハードウェアのアーキテクチャが非常によくできていますし、Macプラットフォームでのゲームの未来は明るいと考えています。Macでの配信に多くのメリットがあることがすぐにわかりました」

もうひとりの主人公である弥助は、自慢の怪力で敵に挑みます。
クリエイティブ面では、クリエイティブディレクターのJonathan Dumont氏が別の観点に注目しました。「重要なのは、正しいと感じるか?ということ。プレイヤーに届けたいものなのか?答えはイエスでした」
Ubisoftで20年のキャリアを積み、今作のテクノロジーディレクターを務めたMartin Bedard氏は、クリエイティブチームの目標は「リアルな世界を作り上げること」に尽きると述べています(同氏は奈緒江でのプレイが得意とのこと)。「目の前にはさながら当時の世界が広がっています。このストーリーは、プレイヤーのまさに遊び場なのです」
今作にはふわふわの子猫も登場します(これについては後述)。

絶え間なく移ろう季節が、ゲームの環境に実に多様な変化をもたらします。
今作では生物群系、季節、天候、光のすべてがダイナミックに構築されており、美しさの裏に途方もないパワーが秘められています。日没時には山々が薄紫の光で照らされ、夕日が木の葉や寺院の屋根に降り注ぎます。ほぼすべての部屋に1本のろうそくが灯っており、明かりは常に変化します。「この雲を見てください」とBedard氏が画面を指差しました。「これはレンダリングではありません。すべて、流体ベースのシミュレーションです」
「日本の約80%を木々や山々が占めているとのことなので」とDumont氏は続けます。「構築した世界に雨も、風も、山もなかったら、正しさに欠けるような気がします」
どこにいても、どこに行っても、すべてが美しくリアルです。
Mathieu Belanger氏(アソシエイトテクニカルディレクター)
風については、「以前はほぼ不可能だった多くの機能を開発しました。その1つが、単なるアニメーションではなく、風の完全なシミュレーションです」とBelanger氏は言います。「雲が集まる湿度のシミュレーションも作成しました」。ゲーム内で移ろう季節を表現するために、Ubisoftは家屋、市場、寺院を刻々と変化する状況の中で描写するエンジンを開発しました。「完成に丸4年かかりました」とBelanger氏は振り返ります。
歴史的正確さを追求するため、Dumont氏率いるクリエイティブチームは日本を訪れ、大きな要素(市街図など)から非常に具体的な要素(16世紀の木材に使われたであろう塗料など)に至るまで、事細かに調査しました。それは必ずしも簡単ではありませんでした。あるときには、我々の調査を受け入れてくれた日本人から、山々に降り注ぐ光の修正を勧められました。「我々は、そのような細かい部分をすべて正しく反映させたいのです」とCôté氏は言います(より没入できるように、英語字幕付きの日本語吹き替え版も用意しました)。

16世紀日本の世界観を再現するため、Ubisoftのクリエイターは日本を訪れ、事細かに調査しました。
Ubisoftが主人公の役を2人のキャラクターに担わせ、それぞれのアイデンティティ、スキルセット、オリジンストーリー(その人物の過去を明らかにするストーリー)、出身階級を異なるものにするという決定をしたのは、制作の早い段階でした(「楽しかった」とBelanger氏は笑みを浮かべます)。Ubisoftチームのメンバーは、奈緒江と弥助のどちらを選ぶかはプレイヤーの好み次第(技で攻めるか、力で押すか)であるとしています。キャラクターはいつでも切り替えることができ、ご推察の通り、両名はストーリーが進むにつれて成長し強くなっていきます。奈緒江の大きな強みは、影に身を隠す能力にあります。大きな建物の陰だけでなく、隠れる場所を確保できるシーンならどこでも影を活用できます。「一度も発見されないまま周囲の敵を一掃できれば達人クラスですね」とBedard氏は言います。
(隠れ家は)平和です。たとえば、木を切り倒す、集めたものを見る、建物をアップグレードする、猫と触れ合うといったことができます。
Jonathan Dumont氏(Ubisoftクリエイティブディレクター)
隠れ家もあります。田園風景が広がる農村であり、奈緒江と弥助の本拠地です。過酷な戦いから離れ、心を落ち着けて一時の休息を得られる地です。「いつでもプレイヤーを歓迎してくれる場所」とDumont氏は言います。ゲームの進行に役立てるためはもちろんですが、外観そのものを楽しめるようなカスタマイズも可能です。激しい肉弾戦やステルス攻撃を繰り広げる殺伐とした戦闘シーンとは対照的に、隠れ家では消耗アイテム、アートワーク、見つけたものを保管でき、猫、犬、鹿などの動物と触れ合えるほか、さまざまな癒しの要素も盛り込まれています。Dumont氏は「もちろん、ゲームの進行に合わせて変化しますが」としたうえで、こう続けます。「平和が脅かされることはありません。たとえば、木を切り倒す、集めたものを見る、建物をアップグレードする、猫と触れ合うといったことができます」
「子猫はP1の機能でした」とアソシエイトゲームディレクターのDany St-Laurent氏は笑います。

敵と対峙する弥助。戦闘からは多くのことを得られます。
さまざまな要素が盛りだくさんのゲームではありますが、本質はいたってシンプルだとDumont氏は言います。「キャラクターの相性はとても良いと思います。オープンワールドのゲームですが、プレイヤーは基本的に、2人のキャラクター(気に入ってもらえるとよいですが)を操作します。このゲームでは、2人の冒険を追い、彼らとつながり、秘められた謎を探りながら、交差する物語が導くひとつの流れに身をゆだねることになります。彼らが力を合わせて戦っていく様が、シリーズでも大きな見どころの1つになると思います」
Ubisoftチームが自身のやり方を貫けば、今後もたくさんの機会がやってくるでしょう。「今作は、Macプラットフォームでこの先何年も拡張していくと思います」とCôté氏は言います。「ゲームというものは、新しいハードウェアがリリースされるたびに没入感が高まっていきます。Macでのリリース初日により多くのプレイヤーに参加してもらえるように、今後の制作を検討しているところです。Macは素晴らしいプラットフォームだと思いますよ」