代替ビジネス規約での手数料の見積もり

Appleは、欧州連合(EU)でアプリを配信するデベロッパ向けに「Alternative Terms Addendum for Apps in the EU」(EUにおけるアプリに関する新しい規約の付属文書)を発行しています。App Storeの外部でアプリを配信する場合は、同規約の対象となります。デベロッパのうち、EU以外のApp Storeにおける現行の配信体制からの変更を希望しない方は、対応の必要はありません。引き続き、App Storeのみでアプリの配信を行い、プライバシーとセキュリティが確保されたアプリ内課金システムをご利用いただけます。新しい規約に同意すると、Appleに支払う手数料に変更がある場合があります。新しい規約に同意するデベロッパは、同規約の適用後に発生する現状の体制からの変更点を、アプリのインストールに関する新しいレポートや「売上とトレンド」のダッシュボードなどのデータを使ってご確認いただけます。

なお、この情報は、見積もりのみを目的として提供されています。

新しいビジネス規約を選択した場合に発生する手数料の見込みを確認するには、アプリの過去のパフォーマンスを使用します。将来の手数料を見積もる際に必要な項目は、以下の通りです。

12か月間に行われた初年度アプリインストールの数。これは、「売上とトレンド」にある「アプリインストールレポート履歴」で確認できます。このレポートに記載されているインストールに対しては、手数料が発生しません。

注：App ClipのインストールやApple Business ManagerおよびApple School Manager経由でのインストールは、このレポートに含まれませんが、新しいビジネス規約に同意した場合、その測定およびカウントは行われます。
EUのiPhoneおよびiPadデバイス経由で発生したアプリの過去の売り上げ(アプリ内課金を提供している場合)。「売上とトレンド」のダッシュボードで確認できます。

必要な役割：Account Holder、Admin、Finance、または Sales with Reports。「役割の権限」を参照してください。

月次の手数料の計算

コア技術料は、過去12か月間の初年度アプリインストール数に基づいて算出されます。初年度アプリインストールが100万回を超える分について、毎月、コア技術料の12分の1がデベロッパに請求されます。初年度アプリインストール数が100万回に満たないアプリでは、当月のコア技術料は発生しません。

例として、「Forest Explorer」というアプリの8月分の手数料を見てみます。過去12か月間のうち、5か月間が対象であったとします。このとき、Forest Explorerアプリの初年度アプリインストール数が105万回であったとします。8月は、初年度アプリインストール数が100万回を超える5万回の部分について、コア技術料の12分の1が請求されます。これにより、当月の未払い額は2,083.33ユーロと計算されます。デベロッパには、8月分の月間手数料を記載した請求書が届けられます。

注：

初年度アプリインストール数が100万回を超えても、CTFを支払わなくてよいデベロッパは多くあります。これには、以下の種類のデベロッパが含まれます。

Apple Developer Programの手数料が免除される非営利団体、行政機関、教育機関。
非収益事業に携わり、収益化を行わない無料アプリを提供する非営利目的のデベロッパ。
初年度アプリインストール数が100万回を超えたことがない小規模デベロッパ(全世界での事業収益が1,000万ユーロ未満)。CTFが無料となる3年間の導入期間が適用されます。

このような条件について詳しくは、「CTFの仕組み」セクションを参照してください。前述のビジネス規約をご自身のパフォーマンスに関連付けて把握するのに役立ちます。

アプリインストールレポート履歴のダウンロード

必要な役割：Account Holder、Admin、Finance、または Sales with Reports。「役割の権限」を参照してください。

アプリインストールレポート履歴は、Webサイト版のApp Store Connect経由またはApp Store Connect API経由でダウンロードできます。APIを使用する場合は、まずAPIキーの生成およびユーザへの権限割り当てを行う必要があります。また、「売上とトレンド」のレポートのダウンロード方法をこちらでご確認ください。

利用できるレポートには、次の3つのバージョンがあります。

バージョン1_0：2023年にiPhone経由で発生した初年度アプリインストールの数を示す履歴レポート。
バージョン1_1：2023年にiPhone経由とiPad経由で発生した初年度アプリインストールの数を示す履歴レポート。
バージョン1_2：任意の12か月間に発生した、iPhone経由とiPad経由の初年度アプリインストールの数を示す履歴レポート。

App Store ConnectのWebページからこのレポートをダウンロードするには、以下の手順に従います。

App Store Connectのホームページで「売上とトレンド」をクリックします。
左側で、「売上とトレンドのレポート」を選択します。
「アプリインストールレポート履歴」セクションに移動します。
ベンダーを選択します。
日付ピッカーを使用して、目的の月または年を選択します。
「ダウンロード」をクリックします。

GZIP(.gz)圧縮ファイルを開くか、ユーティリティを使用して解凍します。

コア技術料の見積もり

展開済みの「Install Summary」(インストール概要)レポートファイルをスプレッドシートアプリケーションで開きます。
レポート上部のヘッダーには、デベロッパ名、地域(欧州連合)、およびレポート年が表示されます。
デベロッパアカウント内の各アプリにおける年間初回インストール数に関するデータが表示されます。これには、しきい値を超える年間初回インストール数やアプリごとの年間初回インストール数の合計、インストールのタイプ別での年間初回インストール数の内訳などが含まれます。

EUにおけるiPhoneおよびiPadデバイス経由の売り上げの見積もり

アプリ内でデジタル商品やサービスを販売している場合、「売上とトレンド」で表示される売り上げのデータを手数料の計算ツールへ入力することで、新しい手数料モデルを適用した場合のコミッションの変化を確認できます。

App Store Connectのホームページで「売上とトレンド」をクリックします。
左側で、「売上」を選択します。
日付ピッカーを使用して、目的の日付範囲を選択します。選択する期間は、インストール手数料の見積もりに使用するアプリインストールレポート履歴の期間と一致するようにしてください。
「フィルタを追加」、「デバイス」、「iPhone」および「iPad」を選択します。
「フィルタを追加」「テリトリ」を選択します。「マイグループ」では「欧州連合」を選択します。
「フィルタを追加」「親アプリ」を選択し、見積もりを行うアプリの名称またはApple IDを入力します。
四捨五入された売上の値がダッシュボード上部に表示されます。より正確な値を取得するには、表の右上にある書き出しボタンをクリックし、任意の書き出しオプションを選択します。
表からデータを書き出した場合、欧州連合においてiPhoneおよびiPad経由で発生した総売上高を確認するには、お使いのスプレッドシートアプリケーションでファイルを開き右端までスクロールします。
入手した値から、売上に適用される税金をすべて差し引きます。ご不明点がある場合は、自身の税務顧問にご相談ください。

アプリインストールレポート履歴を活用することで、新しいビジネス規約を適用した際に欧州連合における初年度アプリインストールの数がどうカウントされるかを把握できます。

レポート名				注釈
Install Summary Report(インストールレポート(概要))				このレポートでは、各アプリにおける直近12か月間の初年度アプリインストールの数と、そのうちしきい値を超えたものの数の推定値を確認できます。
Install Detail Report(インストールレポート(詳細))				このレポートでは、直近12か月間の初年度アプリインストールの数を、アプリ、テリトリ、インストールの種類、インストールのチャネル、月ごとに確認できます。

App Store Connect API経由またはReporter経由でレポートをダウンロードする方法については、各リンクを参照してください。

Core Technology Fee(コア技術料)についてはこちらをご確認ください。

Install Summary Report(インストールレポート(概要))

レポートのフィールド
Developer	String	App Store Connectで設定したデベロッパ名。
App ID	Int	インストールされたアプリのID。
App Name	String	インストールされたアプリの名前。
Installs Above Threshold	Int	100万のしきい値を超える年間初回インストール数。
First Annual Installs	Int	初年度アプリインストール数の合計。

Install Detail Report(インストールレポート(詳細))

レポートのフィールド
Developer	String	App Store Connectで設定したデベロッパ名。
App ID	Int	インストールされたアプリのID。
App Name	String	インストールされたアプリの名前。
Territory	String	アプリがインストールされたテリトリ。ユーザのAppleアカウントのテリトリに基づきます。
Install Type	String	発生したインストールの種類。
Channel	String	インストールが開始されたチャネル。値として含まれるのは、「App Store」または「TestFlight」です。
MM-YY	Date	列のタイトル表示される月と年における年間初回インストール数。

レポートのファイル名

レポート名	利用可能バージョン	期間タイプ	命名規則	例
テリトリー別のインストール概要	1_0、1_1	YEARLY	InstalSummary_By_Territory_<Vendor_ID>_<date>_V1_1	InstalSummary_By_Territory_80012345_20231231_V1_1.txt
インストールの種類別のインストール概要	1_0、1_1	YEARLY	InstalSummary_By_Install_Type_<Vendor_ID>_<date>_V1_1	InstalSummary_By_Install_Type_80012345_20231231_V1_1.txt
インストールチャネル別のインストールの概要	1_0、1_1	YEARLY	InstalSummary_By_Install_Channel_<Vendor_ID>_<date>_V1_1	InstalSummary_By_Install_Channel_80012345_20231231_V1_1.txt
インストールの詳細レポート	1_0、1_1	YEARLY	InstalDetail_<Vendor_ID>_<date>_V1_1	InstalDetail_80012345_20231231_V1_1.txt
Install Summary Report(インストールレポート(概要))	1_2	MONTHLY	InstalSummary_<Vendor_ID>_<date>_V1_2	InstalSummary_1234567_123456_V1_2.txt
インストール詳細レポート	1_2	MONTHLY	InstalDetail_<Vendor_ID>_<date>_V1_2	InstalDetail_1234567_1234567_V1_2.txt

FAQ

アプリインストールレポート履歴をダウンロードすると、2つのバージョンのレポートが見つかります。どちらを使用すればよいですか？

バージョン1_1のレポートには、iOSとiPadOSの両方を対象とする初年度アプリインストール数のデータが含まれます。バージョン1_0のレポートには、iOSを対象とするデータのみが含まれます。iOSとiPadOSでのインストール数が未払いの手数料にどのように影響するかを把握するために、バージョン1_1のレポートを参照することをお勧めします。

アプリインストールレポート履歴には、自分が作成したすべてのアプリのデータではなく、一部のアプリのデータのみが掲載されています。なぜですか？

アプリインストールレポート履歴に掲載されるのは、EU圏のApple Account経由で、iOSまたはiPadOSでのインストールが2023年中に少なくとも1回行われたアプリのみです。

アプリインストールレポート履歴のダウンロードを試みると、「このレポートに指定された期間でのアプリのデータは生成されませんでした。」というメッセージが表示されます。これは何を意味しますか？

このメッセージは、2023年中にEU圏においてiOSまたはiPadOSでのアプリのインストールが発生しなかった場合に、アプリインストールレポート履歴のダウンロードを試みると表示されます。

今年アプリをリリースしましたが、レポートでは再インストール数とアップデート数が初年度アプリインストール数として表示されています。これはなぜですか？

ユーザは、EU圏内でiOSデバイスにアプリをダウンロードする前に、EU以外の地域やiPhone以外のデバイスでアプリの初回インストールを行うことがあります。初年度アプリインストールは、EU圏内において、iOSのみで計測されます。ユーザがEU以外の地域で、またはiOS以外のデバイスですでにアプリをインストールしている可能性があることから、初年度アプリインストール数は再インストール数またはアップデート数として表示される場合があります。