デザインの裏: 「Sayonara Wild Hearts」

道路をバイクで走り抜ける主人公

「ゲーム内のすべてに、そういう親しみやすさを反映させたいと考えました。そして自然と、私たちが幼い頃によく遊んでいたアーケードゲームのようなものを作りたいという考えに至りました」とFlesserは言います。チームにインスピレーションを与えたのは「スターフォックス」などのゲームでした。また、「Rez」のようなゲームに見られる音楽との融合も彼らのヒントになりました。Flesserは次のように語っています。「私たちはよく、必ずしも好きなわけではないけれど可能性を感じられるものの中にインスピレーションを見出すようにしています。たとえば、ビデオを多用するゲームも研究しました。そういうゲームは、インタラクティビティに欠けるものの、圧巻の映像美という点では見事に成功しています。そこで、その感性を取り入れつつ、ゲームを常にコントロールしている感覚を損なわないようにすることを目指しました」

ゲームの音楽的基盤を決定するため、Simogoのチームはプロジェクトの本質を表現する音楽の大規模なプレイリストの作成に着手しました。「実は、当初の姿は今とはずいぶん異なり、重厚感のあるトーンを使っていました」とFlesserは言います。ゲームのプロトタイプには、そのダークなスタイルの曲が使われていましたが、ある日のテスト中、プレイリストに入っていたエネルギッシュでポップな曲が流れた瞬間、方向性が一変しました。

「Sayonara Wild Hearts」の初期のコンセプトアート。

「ひらめいたのです。私は(チームに向かって)『これだ』と声をあげました」とFlesserは言います。翌日からチームは早速、この新しいトーンでオリジナルのポップソングを書き始めました。新しい曲ができあがってくると、プロトタイプのカラースキームも変化し始めました。「(曲の)色調はパープルとピンクとブルーでした。音楽がゲームを彩ってくれたんです」

ハートに、直感に従って進みます…なぜならそれが、何かを訴えかけてくる作品、誠実な作品を作れる唯一の方法だと思うからです…何を作ろうとしているのか、その作品を通して何が言いたいのかについて考えすぎると、形のない魔法のようなものが失われてしまいます。そのプロジェクトが何なのかを、自分が語るのではなく、プロジェクトそのものに語らせる必要があるのです

Simon Flesser, Simogo

剣を持って空中を飛んでくる双子

ゲームの動きが非常に速いため、理解しやすく直感的に使用できるコントロールを作成することが不可欠でした。そのためチームは意図的に、プラットフォームに依存しないコントロールを採用しました。これによってタッチスクリーンでも、サードパーティ製のゲームコントローラーでも、Apple TVのリモコンでも、自在にコントロールしながらゲームを楽しむことができます。Flesserはこう説明します。「プレイヤーが実際に指を動かした時にプレイヤーのアバターが動くように、スワイプを中心とした入力方法を選択しました」

チームがプロトタイプをテストする中で、スワイプコントロールは進化し続けました。中でも、ゲームの絶え間ないカメラの動きとズームは特に難しい課題となりました。「3D空間と2D空間でのフィードバックの違いついて、非常に多くのことを学びました。同じような動きでも、カメラがどれだけ離れているか、カメラがどのくらい動くかによって感覚は大きく異なりますが、さらに、カメラを軸として回転するのか、プレイヤーのアバターを軸として回転するかによっても、動きの感覚は大幅に変わってきます」とFlesserは言います。

ゲーム体験を滑らかにするため、Simogoのチームはキャラクターを同じ相対空間に保ちつつ、カメラのアクティブな遠近感やズームレベルに対するフィードバックとスワイプの反応性を調整しました。

このような配慮とデザインの見事な調和により、「Sayonara Wild Hearts」は、Appleのプラットフォーム向けゲームの中でも傑出する存在となりました。Flesserは、Apple Design Awardを受賞したこのゲームの完成までの道のりについて次のように述べています。

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