開発者インタビュー:Brian Mueller
2020年4月17日
Brian Muellerは、実に博学多才な人です。彼は「Carrot」シリーズのAppのコーディングからデザイン、イラストレーション、果ては気の利いた台詞の執筆まで、すべてを自分で手掛け、To-doリスト、アラーム、カロリーカウンターなど普通なら個性が出にくいカテゴリーのAppに、ウィットに富んだ存在感を与えています。
そのスタイルは「ユーモラス」という言葉では語り尽くせません。例えば、トレーニングApp「Carrot fit」は「jump flabby human, jump for freedom!(跳べ、たるんだ肉体よ、自由に向かって跳べ!)」と、ロボットのような抑揚のない声で指令を出します。
Brian Muellerと彼のアプローチについて詳しくは、[こちらのインタビュービデオ](https://developer.apple.com/app-store/grailr/?cid=developer80)をご覧ください。このビデオでは、Muellerが、Apple Watch版「Carrot Weather」の進化について詳しく解説しています。
「Carrot To-Do」は「It’s been 18 hours since you did anything useful(有意義なことをしてから18時間が経過しました)」などと皮肉を飛ばし、「Carrot Weather」は「It’s a beautiful day! Ha ha, just kidding. It’s raining.(今日は良いお天気です!なーんて冗談、雨ですよ)」と自由奔放な天気予報を届けます。
毒舌を放つTo-doリストAppと言われても、本職を辞めるほど大成功するアイデアだとは思えないかもしれません。事実、「Carrot」が大ヒットしたことにはMueller自身も驚いています。「どういうわけか、ユーザーの心を掴んでしまったんですよね。こういうのがヒットするなんて、今でも時々信じられない気がします」と、Muellerは言います。
かつて脚本家志望だった彼は、フィラデルフィアの自宅の一室で、App用に数え切れないほどのフレーズを書いてきました。そして今も、その時の状況に合わせて常に更新しています。(「Carrot Weather」のために最近書いたフレーズがこちらです。「Don’t tell anyone, but I regularly send bad weather to areas with high concentrations of stay-at-home order protesters.(ここだけの話、自主隔離の違反者が集まる地域は、定期的に悪天候にしています)」)
「Carrot」のインスピレーションの源は、Muellerの身近な人々。例えば、母親、姉妹、妻など、気兼ねなく、からかい合える相手です。
「『Carrot』の台詞の多くは実際に家族の誰かが言ったことです。妻が面白いことを言うたびに書き留めます。そのことを鬱陶しがることもありますが、私よりずっと面白い人なんです」
キャラクター主導のAppの製作を思いついた時、Muellerにコーディングの経験はありませんでした。「英語専攻で、副専攻はクリエイティブライティングでした。書くこと、登場人物のキャラクターを創作すること、物語を語ることが好きでしたが、人生で何をするか具体的な考えはありませんでした」
当初は、開発者を雇って自分のビジョンを実現してもらうつもりでした。「プログラマーと話す時、ばかにされたくなかったので、iOSプログラミングの入門書を買い、用語だけ勉強したんです」と語るMuellerは、「iOS Programming: The Big Nerd Ranch Guide」を読み、Appがとても簡単に作れることを知って驚きました。そして2013年1月には「Carrot To-Do」をApp Storeにリリース。製作期間は約1か月でした。
書くこと、登場人物のキャラクターを創作すること、物語を語ることが好きでしたが、人生で何をするか具体的な考えはありませんでした
Brian Mueller, Carrot creator
発売当初は売上が伸びませんでしたが、数年の年月といくつかのAppリリースを経て、「Carrot」シリーズは多くのユーザーを獲得し、Muellerはそれまでの仕事を辞め、フルタイムのデベロッパになりました。
「Carrot」の世界は今も広がり続けています。Muellerは、iOS Appを7つとiOSステッカーパックを1つ、さらにApple Watch、Apple TV、Mac向けの「Carrot Weather」を製作しました。iOSにAR(拡張現実)テクノロジーが搭載されたことをきっかけに、Muellerは「Carrot Weather」にARコンポーネントを追加する方法を独学で習得しました。ARにより、球体の「視覚センサー」の姿をした無機質なCarrotのキャラクターが、目の前の空間に現れるようになりました。怒らせると、彼女は赤色になります。
Appショップを1人で運営するのは簡単なことではありませんが、Muellerは何役もこなすのを楽しんでいます。「コーディングのとき壁にぶつかると、ひと息入れて、執筆かデザインの仕事に切り替えます。同じ作業で煮詰まることはありません」と彼は語ります。
「変わった仕事の進め方かもしれませんが、私は完璧主義なところがあって。そのおかげで、思い通りのものが作れるんです」
App Storeより転載