未来を担うSwift Student Challenge入賞者が決定

Appleが主催する2020 Worldwide Developers Conference(以下、WWDC20)がいよいよ、新しいオンライン形式で来たる6月22日に開幕します。ここにはグローバルコミュニティを形成している2300万人の開発者が世界各地からApple Developer AppとApple Developerウェブサイトを通じて無料で参加します。今年で31年目となるWWDC20では、イノベーションと起業を志す過去最大数の人々が一堂に会し、互いにつながり、共有しながら、創造力を発揮します。

その中には、41の国と地域から参加した350名の Swift Student Challenge の入賞者も含まれています。この学生の皆さんは、AppleがWWDCの一環として、次世代のプログラマーやクリエイターを見いだし賛えるために毎年開催している学生コンテストに、Swift Playgroundsを活用して作成した各自オリジナル のAppを作品として提出し選ばれました。

Sofia Ongele、Palash Taneja、Devin Greenは今回の入賞者の一部で、いずれも10代の若者である彼らに共通する人生の目的はOngeleの言葉に見事に集約されています。それは「テクノロジーに触れながら良いことを沢山やろう」というものです。この3名は全員、世界が抱えるさまざまな課題に対して、今こそ変化をもたらす好機と捉えています。問題それぞれが行動喚起の源であり、彼らは大きな声で明確にそれに答えようとしています。

Sofia Ongeleの将来の夢は裁判官になるか政治家に立候補することです。

19歳のSofia Ongeleは、ニューヨークのFordham Universityで2年次を終えたばかりです。彼女の変化の焦点は、テクノロジーと社会正義の交差点にあります。それを力強く表す例が、彼女が初めて作ったiOS AppのReDawnです。Ongeleは、彼女の大学の友人の一人が1年生の時に性的暴行を受けたのをきっかけにReDawn を作り、そのような被害に遭われた人々が安全かつ簡単に、他人に知られることなく配慮された方法で手助けを得たり最適な情報にアクセスできるようにしました。

「私が作りたかったのは、このようなプロセスでもなるべく孤独を感じないようにしてくれるものでした」と語るOngeleは、このAppの運用について、複数の団体から彼女に提携の申し出があったことを明かします。しかし彼女が得た最も重要なフィードバックは、性的暴行の当事者となった友人からでした。「彼女が、このAppは人々にインパクトを与える可能性を秘めていると考えていたことが、私にとって最も大切なことでした。」

Ongeleがコーディングに初めて触れたのは2016年、13~18歳の少女を対象とした無料のプログラミングコースの Kode With Klossy ブートキャンプを受講したのがきっかけでした。コーディングを学んだことで自分の世界が変わったと、Ongeleは言います。

「頭の中で180度のパラダイムシフトが起こりました。これこそ私がしたかったこと!みたいな感じでした」とOngeleは語り、話題はプログラミング教育へと進みます。「プログラミングの知識をもっと多くの女性、有色人種の女性たちに伝えていくことに情熱を注いでいます。そうすることで彼女たちが、プログラミングは自分たちにとって身近で、情熱を注ぐことができる分野なのだと感じてほしいのです」

Ongeleにとってのヒーローは、最高裁判事を務めたSandra Day O’ConnorとRuth Bader Ginsburg、現職の下院議員Alexandria Ocasio-Cortezという女性たちで、彼女自身、法学部と政治学部のどちらに進学するか、または両方を専攻するか決めかねているところです。彼女が選ぶ道がどちらであれ、コーディングのスキルはこれから自分が歩んでいく旅路の一部になることが彼女には分かっていて、「最終的にはテクノロジーを使って社会に善いことをしたいだけなんです」と話します。

Palash Taneja は自身の病気の経験を人々を助けるのに役立てようと思い立ちあがりました。

19歳の Palash Taneja はインドのニューデリーで育ちました。彼は4年前、蚊が媒介するウイルスにより発症するデング熱で重体になり入院を経験しました。

「それは2~3か月に及ぶすべてが苦しい経験でしたが、この経験からプログラミングを学び、それを問題解決のためのツールとして使おうという気持ちになりました」と、テキサス大学オースティン校の1年生を終えたばかりのTanejaは言います。

彼が開発を始めたウェブベースのツールは、デング熱のように蚊が媒介する疾病の拡大の仕方を機械学習を使って予測するものでした。そして今年のSwift Student Challengeに応募するために、TanejaはSwift Playgroundsを活用しCOVID-19を意識したAppを作りました。この作品では、パンデミックが人々の集団の中をどのように移動するかというシミュレーションと共に、身体的距離の確保やマスク着用のなどの予防策がいかに感染率低下に役立つかを示しながら、コーディングを教えるという試みを行っています。彼がこうした作品を作ったのは、感染症に関する警告をまじめに受け取らない人々を間近で見て、若い世代の教育を支援しようと思い立ったからでした。

Tanejaは教育にも熱心です。インドでは、彼自身は今も10代の若者ですが、授業料を払えない家庭の子供たちを生徒を学校に迎えてボランティアで英語と算数を教えていました。彼は、米国の大学に入学するためにインドを離れる前に、人気の教育ビデオを約40言語に翻訳するプログラムを開発し、学校に通って質の高い教育を受けることができない子供たちがウェブを通じて学べるようにしました。 「子供たちと一緒に作業するのが好きです。誰かの人生に最大の影響を与え得る物事のひとつが教育だと考えています。そしてその誰かが途上国に暮らしているのなら尚更です」と、Tanejaは言います。

Devin GreenのAppと発明は、彼を取り巻く世界からヒントを得ています。

Devin Greenはテクノロジーを使って問題を解決するのが大好きで、自分の周囲を見渡しては何らかのヒントを得ています。高校の最終学年をCOVID-19により自宅で終えることになった時、彼はカリフォルニア州カストロバレーにある自宅のベッドルームを研究所として使うことにしました。

この秋、スタンフォード大学で新入生としてスタートを切ることになっている18歳の彼は、朝起きることが苦手です。そこで自分のベッドの下に敷いた圧力マットを利用するプログラムを設計しました。起床予定の時刻になってもマットの上に重さが掛かっている場合、アラームが鳴り始め、自分のスマートフォンを使ってQRコードをスキャンして読み取るまで鳴り止まないという仕組みです。

「僕の家には12個の異なるQRコードがあって、そのうちの1つが毎朝ランダムに選ばれる仕組みになっていて、どこのアラームを止めに行くべきか事前に知る由もありません」と、Greenは説明します。 これと同じイノベーションの精神は、Greenが作り出すあらゆるものに浸透しています。彼が入賞したSwift Student Challengeの出品作ではStannyという名前の人工知能ロボットが活躍し、63種類の異なるコメントと質問を認識して応答します。

GreenはApp Storeでも2つのAppを公開していますが、そのうちの1つは彼が13歳の時に作ったものです。2つめは「Slight Work」という名前で、ポモドーロ・テクニックを応用して、休憩時間を体系的に組み入れることで作業時間を最大化できる宿題用のAppです。彼と高校のクラスメイトたちは、このAppを最終学年の1年間を通じて同様に使い時間管理を行いました。

Greenが将来について考える時、自分の問題解決の手腕を活用して、世の中にもっと大きな規模で変化をもたらすことを思い描いています。

「自分が一番貢献したいと考えているのは、社会的正義と政治の分野です。人々が現在の社会的な問題に関する知識を得るのに必要な教材へアクセスしたり、あるいは有権者登録や基本的な市民権へアクセスしたりする手段を提供することが必要だと考えています。こうした問題を解決することが、僕には本当に重要なんです。」

Appleは、年次イベントであるWWDCの学生プログラムを通じて、次世代の開発者を支援·育成することを誇りとしており、これは年齢もバックグラウンドも異なるプログラミングとイノベーションを志す人々をWWDC20が認め賛えるための数ある手段のひとつに過ぎません。今回が初の試みとなりますが、今年のWWDC20では、初心者プログラマーおよびデザイナーに最適な厳選されたセッションの特集、誰でも参加して楽しめる日替わりのSwift Playgroundsチャレンジなども提供する予定です。

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App Store: Meet the Swift Student Challenge winners