SKAdNetworkおよびPrivate Click Measurementを使用した広告アトリビューション

SKAdNetworkおよびPrivate Click Measurementを利用すると、広告主はユーザーのプライバシーを保護しながら、複数のソースにわたって広告を分析できます。さらに強化されたSKAdNetwork 4.0では、Webからアプリに転送される形式のキャンペーンのアトリビューション情報がサポートされるため、広告主は、さらに多くのソースにわたり展開するキャンペーンを、より適切に最適化できます。

SKAdNetwork

SKAdNetwork APIを使用する登録済みの広告ネットワークは、Appleからの署名付きの信号を受信することで、アプリのインストールを特定のキャンペーンにアトリビュート(属性付け)することができます。SKAdNetworkは、静止画像、ビデオ、オーディオ、インタラクティブ広告など、複数の広告フォーマットに対応しています。これによって広告主は、他社の個々のユーザーやデバイスをトラッキングすることなく、特定の広告によって発生したインストールの数を確認でき、どのキャンペーンが最も効果的だったかを測定できます。SKAdNetworkでは、アトリビューションポストバックに含まれるデータを限定することによってこれが実現しています。

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SKAdNetworkでは、クリック回数や表示回数をベースにインストールがアトリビュートされます。クリックスルーアトリビューションは、ユーザーが、アプリのプロダクトページに誘導する広告をクリックまたはタップし、30日以内にそのアプリをインストールした際に発生します。ビュースルーアトリビューションは、広告がユーザーに表示され、その後24時間以内にユーザーが広告内のリンクを使用せずに広告対象のアプリをインストールした際に発生します。

アプリがインストールされた際は、ユーザーがアプリを起動してから24〜48時間後に、広告主とデベロッパにポストバックが送信されます(ポストバック送信が有効になっている場合)。SKAdNetwork 3.0以降では、ポストバックを最大5つの広告ネットワークに送信できるため、表示した広告がアトリビューションの対象となったにもかかわらず、インストールを獲得できなかったケースを把握できます(iOS 14.6、iPadOS 14.6以降)。獲得ポストバックには、以下のようなアトリビューション情報が含まれます。

  • アプリID:広告対象のアプリの識別子。
  • 再ダウンロード情報:インストールが再ダウンロードだったかどうかを示します。広告主は、この情報を使用して、ユーザー再獲得キャンペーンの成果を評価できます(SKAdNetwork 2.0以降)。
  • SourceアプリID:アプリのインストールが発生した元となる特定のアプリ。これによって広告主は、ダウンロードの発生元となったアプリを特定することができます。この値は条件値であり、プライバシーのしきい値が満たされた場合にのみ表示されます(SKAdNetwork 2.0以降)。
  • ソース識別子:広告を表示する際に広告ネットワークから提供されたソース識別子。
  • コンバージョン値:広告主は、異なるタイプのエンゲージメントを表す各コンバージョン値を、用途に応じて設定できます。たとえば、ユーザーがオンボーディングチュートリアルを終了したとき、アプリ内課金を購入したとき、サブスクリプションを購入したときを把握するための、3つのコンバージョン値を設定できます。この情報をSourceAppID(該当する場合)と同時に使用して、キャンペーンのクオリティを把握することができます。この値は条件値であり、プライバシーのしきい値が満たされた場合にのみ表示されます。

広告ネットワークは、StoreKitTestフレームワークでSKAdTestSessionクラスを使用して、SKAdNetwork実装を部分的にテストおよび検証することもできます。これには、広告インプレッションの署名やパラメータも含まれます。また、テストポストバックを受信することもできます。

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SKAdNetwork 5の新機能

SKAdNetwork 5を使用する広告ネットワークでは、プライバシーを保護しながら、広告キャンペーンがアプリのダウンロード促進にどの程度効果的かを測定できます。SKAdNetwork 5では、広告によるアプリのダウンロード促進の効果測定に加えて、ダウンロード後にユーザーが再度アプリを利用するタイミングも測定できます。そのため、ユーザーが広告をタップしてアプリを開いた場合、デベロッパと広告ネットワークは最大3つのポストバックを受け取ることができます。

よくある質問

Appleのクラウドの匿名性はどのように機能しますか?

広告によるインストール数が増加すると、広告ネットワークとデベロッパは、アトリビューションポストバックで追加のデータを受信することができます。Appleは特定のダウンロードをリアルタイムでチェックして、ポストバックのデータ層とポストバックに含める情報レベルを決定しています。

クラウドの匿名性についてさらに詳しく

SKAdNetworkを使用するには、ユーザーにトラッキングの許可を求める必要がありますか?

いいえ。SKAdNetworkを使用する広告ネットワークでは、ユーザーのプライバシーを保護しながらアプリのインストールのアトリビューションができるため、AppTrackingTransparencyのプロンプトを使用する必要がありません。ただし、アプリにトラッキングのインスタンスが含まれる場合は、AppTrackingTransparencyフレームワークを通じて、ユーザーをトラッキングしたりデバイスの広告識別子にアクセスしたりするための許可をユーザーから得る必要があります。

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SKAdNetworkはどのような種類のコンバージョンイベントに対応していますか?

SKAdNetworkのインストール通知では、ユーザーの値のシグナルを最大64個まで広告ネットワークに共有できます。

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conversion-valueまたはsource-app-idの値がポストバックでnullの場合はどうなりますか?

ユーザーのプライバシーを保護するため、conversion-valueおよびsource-app-idは、特定の基準が満たされた場合にのみSKAdNetworkポストバックに含まれる条件値となっています。条件値がない場合、ネットワーク(または連携する広告パートナーのネットワーク)が「null」の値を示すことがあります。

SKAdNetworkのために複数の広告ネットワークを使用することはできますか?

はい。SKAdNetworkに登録済みのネットワークであれば、複数の広告ネットワークを使用することができます。使用したい広告ネットワークに問い合わせて、そのネットワークがSKAdNetworkに統合されているかどうかを確認してください。

SKAdNetworkでは、アプリのインストールをどのようにアトリビュートしますか?

広告の対象であるアプリをユーザーが起動すると、そのアプリのインストールがアトリビュートされます。ユーザーに広告が複数回表示された場合は、最後に発生した最も忠実度の高い操作に対してアトリビューションが行われます。

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広告詐欺を防止するため、SKAdNetworkではどのような対策が取られていますか?

Appleは、SKAdNetworkのイベントに関連付けられたすべてのトランザクションに対して暗号化された署名と検証を行い、Appleによって既知のコンバージョンイベントにポストバックが付加されていることを証明します。ポストバックには一意のトランザクションID(購入や再ダウンロードといったトランザクションの一意の識別子)も含まれており、有効なコンバージョンイベントのリプレイを検知できるようになっています。

SKAdNetworkをフィンガープリントと組み合わせて使用することはできますか?

いいえ。Apple Developer Program使用許諾契約に則り、個別のデバイスを特定する目的でデバイスからデータを取得することは許容されません。ユーザーやデバイスのデータには、ユーザーのWebブラウザのプロパティと設定、ユーザーのデバイスとその設定、ユーザーの位置情報、ユーザーのネットワーク接続情報が含まれますが、これらに限定されません。SDKを参照しているアプリ(広告ネットワーク、アトリビューションサービス、アナリティクスが含まれるが、これらに限定されない)はApple Developer Programにおいて禁止されています。

リソース

Private Click Measurement

Appleは、モバイル版Webサイトに加えて、iOSアプリおよびiPadOSアプリでもPrivate Click Measurementをサポートしています。広告ネットワークは、iOSアプリまたはiPadOSアプリ内からWebサイトへと誘導する広告クリックの効果を測定できます。この情報を利用すると、ユーザーのプライバシーを保護しながら、どの広告がコンバージョン(購入や登録など)を促進しているかを把握することができます。Private Click Measurementでは、アトリビューションレポートに含まれるデータを制限することによってこれが実現しています。

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またPrivate Click Measurementを利用することにより、Webサイトに転送される広告をアプリ内でタップして発生したコンバージョンを、SFSafariViewController で測定することもできます。Private Click Measurementは、iOS 14.5、iPadOS 14.5、Safari 15.4以降で利用できます。

Private Click Measurementには、以下の機能が用意されています。

  • 販売店Webサイトでの、トリガイベントに関するリンク不可能なトークンを使用したコンバージョン詐欺の防止。
  • 販売店Webサイトでの同一サイト内コンバージョンピクセルに対応。クロスサイトピクセルへの依存を解消。
  • パブリッシャーWebサイト上でネスト化されているクロスサイトフレームのリンクを測定する機能。

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