Automatoysの魅力的なガジェット

iPadとiPhoneの2台のデバイスの写真。Apple Design Awardsのファイナリストに選ばれたAutomatoysのスケッチと初期ドラフトが表示されています。

Steffan Glynn氏のAutomatoysは、ピタゴラ装置とも呼ばれるルーブ・ゴールドバーグマシンと、ノスタルジックなアーケードゲームがミックスされています。これには明確な理由があります。

2018年、カーディフを拠点に活動するこのデベロッパは、サンフランシスコにあるレトロゲームの博物館、Musée Mécaniqueを訪れました。そこには昔懐かしいゲーム、ピンボール、占いマシン、さまざまな装置が並んでいました。この旅行中に、彼はルーブ・ゴールドバーグが描いたスケッチの展覧会にも立ち寄りました。この展覧会では、非常に複雑に入り組んだ機械が多数紹介されていました。「役に立たなくて面白い、という点に魅かれました」とGlynn氏は言います。「あの旅で、突飛なインスピレーションを数多く得ることができました。」

Automatoysのパズルを作るためにスロープ、迷路、機械を組み合わせた初期のスケッチ。

そのインスピレーションから生み出されたAutomatoysは、Apple Design Awardsのインタラクション部門でファイナリストに選ばれることになります。Automatoysは、スロープ、エレベータ、カタパルト、スイッチなどで構成された迷路を進みながら、ボールをA地点からB地点まで転がすシングルタッチのパズルゲームです。このゲームには、その発想のルーツに忠実に、驚くほどリアルな操作感が盛り込まれています。スイッチとボタンはすべて実物のような感触を持っており、各レベルのプレイを開始するにはバーチャルコインを投入する仕掛けになっています。ゲーム中は、ゆったりとしたジャズ風のローファイサウンドトラックが流れます。「私がサウンドデザイナーに伝えたのは、ゲームへのいらいら感を減らすサウンドにしてほしいというものでした」とGlynn氏は笑います。

Automatoysの装置は複雑に見えるかもしれませんが、操作はシンプルです。どのボタン、フック、カタパルトもシングルタップで操作できます。「どれをタップしても、装置全体が同時に動きます」とGlynn氏は説明します。この仕組みのおかげで、ゲームを簡単に理解できるだけでなく、発見の感覚も得られます。「プレイヤーが『タップしたらどうなるか、とにかくやってみよう』と思ってくれる瞬間が好きです。」

Automatoysのレベルの作成過程を示す6枚の画像のコラージュ。

Glynn氏は4年間にわたり情熱を持ってこのゲームに取り組みました。同氏は経験豊富なデザイナーで、2018年までState of Playの一員として、Lumino CityやApple Design Awards受賞作品となったINKSなどのタイトルに貢献しましたが、「小規模なカスタムメイドの」ゲーム開発に集中するためにその仕事を辞めました。ただし、1つだけ問題がありました。彼には何年にもわたるデザイン経験がありましたが、コードを書いたことはまったくありませんでした。そのため、スキルを短期間で習得しようと、ビデオチュートリアルと実践練習に取り組みました。

ホームオフィスに座るAutomatoysのデベロッパ、Steffan Glynn氏のポートレート写真。壁にはこのゲームのさまざまなレベルの白黒スケッチが飾られています。

Glynn氏はすぐに、AutomatoysのUnityプロトタイプを作成するまでになりました。「デザイナーとして、アイデアのプロトタイプを作成してテストできることは、驚くほど自由な気持ちになります。これらのツールがあれば、いろいろなことをすぐに試して、何がうまくいくかを自分の目で確かめることができます。」

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「デザインの舞台裏」は、Apple Design Awardsの各受賞者がどのようにデザインを実践しているか、またその哲学を探っていくシリーズです。賞を獲得したアプリやゲームのデベロッパやデザイナーが、どのようにしてその素晴らしい作品に命を吹き込んだのか、ストーリーごとにその舞台裏を覗いていきます。

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