Q&A:長期的な成功を遂げたPlane Finderの戦略

Two iPhone screenshots of the app Plane Finder. The screenshot on the left shows a map of the San Francisco area and information about a flight from JFK to SFO. The screenshot on the right show a map of all plane traffic activity over Europe.

少人数のチームがプラットフォームと共に成長を遂げた「Plane Finder」の事例をご紹介します。

2009年にサービスを開始した「Plane Finder」は、何年もの間、スタッフの増員、ベンダーの増強、システムの複雑化といった規模拡大を行っていませんでした。代わりに、創業者のJodieとLee Armstrong夫妻は、Appleのエコシステムを長年活用し、ネイティブ開発とファーストパーティツールにこだわり続け、プラットフォームのシグナルをいち早くキャッチしてきました。その結果、最初は単なる「地図上に飛行機を表示するアプリ」でしたが、やがて物理ハードウェアのグローバルネットワークを網羅する、完全なエンドツーエンドのフライト追跡ビジネスへと進化しました。しかも、これをわずか8人のチームで構築・運営しているのです。

創業当時の様子、新しいデザインとLiquid Glass、グローバルなフライト追跡ネットワークを運営する上での課題について、創業者夫妻にお話を伺いました。


Plane Finder

  • 対応デバイス: iPhone、iPad、Apple Watch
  • チームの規模: 8人
  • 拠点: イギリス

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2009年当時についてお伺いします。「Plane Finder」のアイデアが生まれたきっかけを教えてください。また、創業当時はどのような様子でしたか?

Leeさん: App Storeがオープンして約1年後から、私たちはここでアプリを公開しています。ずいぶん昔のことのようです。しかし、本当のきっかけは、2007年に発表されたiPhoneを目にしたことでした。iPhoneの発売当時、私たちはちょうどアメリカにいたので、何に使うのかもよくわからないまま1台入手しました。まだApp Storeもなく、イギリスでは電話として使うこともできなかったのです。文字通り、ただ手に持って、画面を左右にスワイプするだけでした。しかし、私たちにとって、この瞬間が非常に大きな意味を持つことになったのです。そのiPhoneは今でも手元にあります。

当初から、エンドツーエンドのフライト追跡プラットフォームにしようと考えていたのでしょうか?

Jodieさん: まったく考えていませんでした。最初はアプリだけで始めたのです。現在では、独自の位置情報を航空機から直接収集して、アプリに組み込み、さらにそのデータを商用販売しています。

8人という小規模なチームですが、どのような感じですか?

Leeさん: Appleのテクノロジーなしでは、これほどの成果を上げることはできなかったと思います。私たちは少人数のチームです。クレジットカード、StoreKit、ローカライズに対応したApp Storeがなければ、サービスをグローバル規模で提供するためのプラットフォームや手段を持ち得ませんでした。私たちは、プラットフォームとしてのApp Storeを本当に高く評価しています。

「Plane Finder」は、ARKit、MapKit、Liquid GlassといったAppleのテクノロジーや機能をいち早く取り入れることで知られています。最も効果的だったのはどのツールでしょうか?

Leeさん: すべてはMapKitから始まりました。私たちは冗談めかして、このアプリを「planes on a map(飛行機地図)」と呼んでいますが、その中心となるのがMapKitです。地球の3DビューではMetalも大いに活用しています。また、StoreKit 2がなければ、プロモーションオファーによる収益化やサブスクリプションに対応できなかったでしょう。サードパーティやクロスプラットフォームのフレームワークは一切使用していません。Appleのテクノロジーだけです。なぜなら、Appleは必要なものをすべて提供してくれるからです。

最新テクノロジーをこれほど早く取り入れようと思った理由はなんでしょうか?

Jodieさん: 会社を運営するにあたり、数年前に聞いたある言葉を信条としています。それは、「新しいテクノロジーが登場した時、スチームローラー(変革を推し進める側)になるか、道路(変化に押しつぶされる側)になるかのどちらかだ」というものです。私たちは常に「スチームローラー」でありたいと思っています。新しいテクノロジーを迅速に評価し、自社にとって意味があると判断すれば、積極的に採用していきます。

Liquid Glassの導入プロセスについてお聞かせください。

Jodieさん: 私たちは、このコンセプトをすぐに受け入れました。経営者としての視点から、「これはまさに未来だ。このテクノロジーを当社に合わせて取り入れなければならない」と考えたのです。最新のテクノロジーに精通し、積極的に取り入れる。それを当社の製品として意味のあるものにする。この2つを融合させるため、デザインチームとエンジニアリングチームが懸命に取り組んでくれました。

御社にとって、デベロッパコミュニティはどのような存在ですか?

Leeさん: 「裏付け」を与えてくれる存在です。自分たちだけで作業していると不安になりますが、コミュニティのおかげで、テクノロジーの活用方法に自信を持つことができます。WWDCのセッションでスライドやサンプルコードを見るのも有益ですが、あくまで特定のケースにすぎません。それが実際にどのように機能しているかを知ることは、本当に貴重な体験です。

Jodieさん: Appleの担当者のみなさんは、私たちのアプリに熱意を示し、さまざまな意見を提供してくれます。とても熱心に関わってくださり、フィードバックも貴重なものばかりです。長年の間には、「なぜツールバーをこのような作りにするのか?」といった質問を受けることもありました。こうしたやり取りのすべてが役立っています。

A photo of six members of the Plane Finder team, all standing outside in a courtyard next to an office building.

「Plane Finder」は単なるアプリではありません。世界中に何千台ものフライト追跡デバイスを導入しています。これを実現する上で、Appleのエコシステムはどのように役立ちましたか?

Jodieさん: このアプリを利用している人たちと、受信機を設置し、カバー範囲を広げることで運営に関与したいと考えている人たちの間には、共生関係があります。

Leeさん: ビジネスを始めた当初、イギリス南部をカバーする受信機は1台だけでした。アプリをダウンロードしてもらっても、「これは素晴らしい。でも、私はスコットランドに住んでいるので飛行機がまったく表示されません」と言われることが多かったのです。そこで、そうしたユーザーに受信機を送ることにしました。まもなく、スウェーデン、アメリカ、アフリカ、アジアからも同様の声が届くようになりました。

Jodieさん: 現在、私たちはこのアプリを使い、カバレッジを改善したい地域で協力してくれる人を探しています。オーディエンスの力を活用することで、ネットワークのさらなる拡大を目指しています。

今後のプランをお聞かせください。

Jodieさん: Liquid Glassへの取り組みはまだ終わっていません。現在、「Plane Finder Double Glazed」というコードネームの社内プロジェクトを進めています。これは、当初見送った、より広範囲なUI変更を含む次期バージョンです。また、機械学習や基盤モデルの活用方法も検討しています。

グローバルなフライト追跡ネットワークの運営に関して、あまり知られていないことを一つ教えてください。

Leeさん: 私たちは、このシステムを支える受信機網を自社で所有し、運用しています。多くの人は、他社と同じように、私たちもデータを購入していると思っているのではないでしょうか。

Jodieさん: 当社では、受信機とアンテナを自分たちで設計し、製造しています。私たちが提供するのはアプリだけではありません。


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