デザインの舞台裏:BIOHAZARD VILLAGE
2023年6月5日
BIOHAZARD VILLAGEほど邪悪さが光るゲームは、これまでありませんでした。
不気味な城や老朽化した工場、華麗でゴシックな悪役などが勢揃いする、Macならではのビジュアルディテールが集結された、ハイレベルの傑作ホラーアドベンチャーです。ゲームの舞台となる荒涼とした村は、おどろおどろしく綿密に練られたディテールに溢れています。レディ・ドミトレスクや突然変異したライカンの軍隊などのキャラクターは、画面から飛び出さんばかりの迫力です。簡単に言ってしまえば、BIOHAZARD VILLAGEには、Appleのハードウェア史上最高レベルのリアルなグラフィックが収録されています。また、豪華なビジュアルは、単に見た目が素晴らしいだけでなく、プレイヤーをゲームの恐ろしい風景の中に引きずり込み、暗黒のミステリー、凶暴な対決、そして驚くような展開へと導きます。
このゲームは、Appleの最先端テクノロジーを見事に結集しています。BIOHAZARD VILLAGEでは、Appleシリコン、ProMotion、Metal 3、拡張ダイナミックレンジを駆使し、驚愕のビジュアル表現を実現しています。「ゲームはとても華美ですが、ゲームが生み出す恐怖感が驚異的です」と語るのは、このゲームのプロデューサーの一人、神田剛氏。「最初の方のシーンでは、ライカンの大群と戦うことになるのですが、ライカンの数の多さが半端ではありません。しかも、それぞれに意思と個性が表現されており、仕上がりには本当に満足しています」。
このような完成度の高さは、特にゲームの舞台となる村に顕著に現れており、まるで村そのものがキャラクターのように感じられます。特に優れているのはその衰退した雰囲気にあり、まるで質感やジオメトリ、複雑なシェーダが集結されたショーケースのようです。また、Metal 3のMetalFX Upscaling機能を有効にすれば、息を呑むような美しさを表現できます。ゲームのエンジンチームの川戸一希氏は、このゲームでは空間的なアップスケーリングと時間的なアップスケーリングの両方が活用されていると語ります。「どちらも使い勝手がよく、求めていた結果が得られました」(川戸氏談)。
「美しいゲームであることは、もともとわかっていました」と語るのは、技術部門マネージャーの伊集院勝氏。「私たちが最も重視したのは、ベースとなるゲームをMac上で可能な限り高速に動作させることでした。私たちはこれを実現できたと思います」。
神田氏は、ゲームに登場する悪役、身長2.7m強の巨大な吸血鬼のレディ・ドミトレスクが住むドミトレスク城も担当しました。「お城はどの角度から見ても見事な仕上がりです」(神田氏談)。「シャンデリアのあるエントランスホールは、私たちの自信作です。チームは、ハードウェアで実現できる最高のグラフィックスを制作するよう努めました」。
ゲームのビジュアルもさることながら、BIOHAZARD VILLAGEはストーリーやキャラクターデザインの素晴らしさも傑出しています。この作品はホラー・ペーシングの傑作であり、激しいアクションの連続と、昔ながらの方法で生み出される恐怖が、巧みに織り交ぜられています。神田氏は「恐怖のエンターテインメントの集結」と胸を張って呼ぶこの作品を作るために、チームは特に気を配ったと語ります。
「コンセプトはホラーテーマパークで、その美しいビジュアルの中で個性的なキャラクターが際立っています」と神田氏は続けます。「ホラーとアクションのステージを繰り返すことで、プレイヤーがバランスを失わないようにしています。この手法は、他のBIOHAZARDのゲームから学びました」。
また、ストーリー展開においても、BIOHAZARDの世界観(VILLAGEはシリーズ8作目)に合わせつつ、新たな方向性を打ち出すために、バランスが重要となりました。「ベースコンセプトのひとつは、イーサン・ウィンターズが自宅で妻と赤ん坊のローズと過ごすことでした」と神田氏は説明します。「ゲーム全体を通して、イーサンの父親としての愛情を感じることができます」。
「コンセプトはホラーテーマパークで、その美しい環境の中で個性的なキャラクターが際立っています」
神田 剛 (BIOHAZARD VILLAGE、プロデューサー)
ただしゲームのイントロで、初代BIOHAZARDから登場するキャラクター、クリス・レッドフィールドとの衝撃的な対決で、ローズは実家から誘拐されてしまいます。「クリスは、この世界観を構築する上でとても大きな存在で、彼がどのようにこのゲームに登場するかという点が非常に重要でした」(神田氏談)。「エンディングまで、彼の意図は秘密にしておきたかったのです」。
神田氏が約束するドラマチックなエンディングに到達するためには、生きているように見えて(おそらく)生きていない、印象的な悪の殺人者との繰り返される戦いに勝ち抜いていかなければなりません。恐ろしいミュータントのサルヴァトーレ・モロー、深刻な健康基準違反を犯しながら工場を経営するカール・ハイゼンベルク、ドナ・ベネヴィエントと彼女の恐ろしい人形(彼女についてはこの人形に言及するだけで充分でしょう)。また、巨大な爪を持ち、見事なまでのゴシックな衣装に身を包んだスーパースター、レディ・ドミトレスクにいたっては、驚くほど熱狂的なファンもいるほどです。
「レディ・ドミトレスクのアイデアは、城そのものに対して大きすぎる巨大なキャラクター、というものでした」と神田氏。「彼女は、かがまないとドアを通り抜けられないのです。そんな彼女が自分の方に向かってくると、その存在感は半端ではありません」。
Macゲームの中でも傑出したゲームとして、BIOHAZARDはその存在感を示しています。ただしこのストーリーの終わりには、予想外のひねりがありました。実は神田氏、伊集院氏、川戸氏の3人は、ホラーファンという訳ではないそうです。神田氏はこのように打ち明けます。「(BIOHAZARDの)クリエイティブチームはホラー映画が大好きなんですが、個人的には、あまり怖すぎない方が好きですね」。
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デザインの舞台裏は、Apple Design Awardsの各受賞者がどのようにデザインを実践しているか、またその哲学を探っていくシリーズです。各ストーリーごとに、賞を獲得したアプリやゲームのデベロッパやデザイナーが、どのようにしてその素晴らしい作品に命を吹き込んだのか、その舞台裏を覗いていきます。