ビジネスモデルの選択
App Storeでは、各ビジネスモデルを通じて、アプリの配信を全世界に展開できるようになっています。適切なアプリのビジネスモデルは、デベロッパの目標とターゲット市場のニーズのバランスを取り、このふたつをマッチさせることができます。先にビジネスモデルを決定してからアプリを開発することで、統一感のあるユーザー体験を提供するアプリの設計が可能になります。
無料のモデルでは、ユーザーはアプリを無料でダウンロードして、使用することができます。価格という障壁を取り除くことで、ターゲット市場のユーザーがアプリをダウンロードして使用する可能性が高くなります。これにより、アプリの認知度が高まり、ユーザーベースの拡大につながります。ブランド力の向上やより大きなユーザーベースの獲得を目指す場合、アプリを無料で提供することを検討してください。
無料 - 収益化なし:アプリ内課金や、アプリ内で物理的な商品やサービスを購入する機能を提供せず、広告も表示しないアプリです。デベロッパはアプリから収益を得ません。
無料 - 物理的な商品やサービスの販売あり:ユーザーが、アプリ内で衣服や食料品などの物理的な商品やサービスを購入したり、交通サービスで配車を予約したりできるアプリです。デベロッパは、これらの販売から収益を得ます。
無料 - 広告の表示あり:アプリの体験の一部として広告を表示し、それによってデベロッパが収益を得るアプリです。適切で、ターゲット市場に関連性の高い広告だけがアプリに表示されるようにします。低品質な広告、過剰な広告、不適切な広告は、ユーザーのエンゲージメントと維持にマイナスに影響します。
アプリ、およびターゲティング広告の表示や広告効果測定を行うために使用するサードパーティのSDKは、「App Reviewガイドライン」の「データの使用と共有」および「広告」のセクションに準拠している必要があります。
リーダー:アプリの外部で購入またはサブスクリプション登録したコンテンツ(雑誌、新聞、書籍、オーディオ、音楽、ビデオなど)を、アプリ内で利用できるようにするためのアプリです。デベロッパはアプリの外部で収益を生み出します。詳細については、「App Reviewガイドライン」の「リーダー」アプリセクションを参照してください。
フリーミアムのモデルでは、ユーザーはアプリを無料でダウンロードでき、任意のアプリ内課金を通してプレミアム機能や追加コンテンツ、サブスクリプション、デジタル商品を購入できます。フリーミアムアプリは、アプリ内課金の購入の有無にかかわらずすべてのユーザーが利用できるアプリで、ユーザー体験の強化やカスタマイズのための購入の機会が提供されています。デベロッパは、アプリ内課金の販売から収益を得ます。フリーミアムモデルとして成功するのは、継続的なアップデートを行ってユーザーの獲得と維持を図る、サービスとして展開されるアプリです。サブスクリプションなど、複数のタイプのアプリ内課金を提供することが可能です。
消耗型:ユーザーは、さまざまな種類の消耗型アイテム(ゲームで使用するライフや宝石など)を購入することで、アプリでの進行を促すことができます。消耗型のアプリ内課金は一度使うとなくなり、再度購入することが可能です。
非消耗型:ユーザーは、非消耗型のプレミアム機能をアプリ内で購入することができます。非消耗型のコンテンツは、一度購入すれば無制限に使用できます(例:写真アプリの追加フィルタ)。Appleでは、非消耗型のアプリ内課金に関連付けられたコンテンツをホストすることができます。
自動更新サブスクリプション:ユーザーは、サービスや定期的にアップデートされるコンテンツを購入することができます。例として、月単位でのクラウドストレージへのアクセスや週単位での雑誌サブスクリプションなどがあります。自動更新サブスクリプションでは、ユーザーがキャンセルするまで定期的に課金が行われます。サブスクリプションについてさらに詳しく
非自動更新サブスクリプション:ユーザーは、ストリーミングコンテンツのシーズンパスなど、期間限定のサービスやコンテンツを購入することができます。このタイプのサブスクリプションは自動的に更新されないため、ユーザー自身が毎回更新する必要があります。
デベロッパが希望する場合、ユーザーが複数のAppleデバイスまたはそれ以外のプラットフォームでコンテンツやサービスにアクセスできるようにすることが可能です。マルチプラットフォーム機能を提供する場合は、アプリの外部で購入できるアイテムやサービスも、アプリ内課金としてアプリ内で購入できるようにする必要があります。詳細については、「App Reviewガイドライン」の「マルチプラットフォームサービス」のセクションを参照してください。
有料のモデルでは、ユーザーは一度の支払いでアプリをダウンロードし、その全機能を利用できます。追加料金やアプリ内課金はありません。デベロッパは、アプリの販売から収益を得ます。このモデルは、一度の料金支払いでアプリの全機能を楽しめるスタイルを好むユーザーに向いています。ダウンロードが有償であることにより、ユーザーはアプリの価値をより慎重に検討する傾向があります。そのため、成功している有料アプリの多くは、優れたデザイン、機能、マーケティングを通してプレミアム体験を前面に出しています。
有料とフリーミアムを組み合わせたモデルです。ユーザーはアプリを有償でダウンロードし、より深く楽しみたい場合は、追加の機能、コンテンツ、サービスをアプリ内課金で購入することができます。このモデルは、アプリのダウンロード価格を抑えつつ、アプリ内課金を通した継続的な収益を可能にします。ペイミアムアプリとして成功しているアプリでは、高品質なデザイン、機能、コンテンツが備わっていることに加え、ユーザー体験を拡張する高度な機能を追加できるようになっています。
有料アプリと同様、ダウンロードが有償であるため、ユーザーはアプリの価値をより慎重に検討する可能性があります。アプリ本体を前払いで購入して得られるもの、そして追加機能のオプションを購入することで得られるものを、ユーザーが把握できるようにしてください。アプリ内課金で提供される機能がなければアプリ自体も利用できないような仕様にすると、ユーザーの不満を招き、売上やリテンション率の低下につながる可能性があります。
App Store Small Business Programは、イノベーションを加速させ、次世代の画期的なアプリをApp Storeに提供するスモールビジネスの発展を支援することを目的としています。このプログラムでは、有料アプリおよびアプリ内課金の手数料率が15%に引き下げられるため、ユーザーに喜ばれる高品質なアプリの開発を継続する上で、より多くのリソースをビジネスに投資することができます。