サブスクリプションを提供する

アプリケーション内でデジタルサブスクリプションをシームレスに体験していただきましょう。App内課金のAPIを活用すると、Appleプラットフォームの種類やApp Storeでのカテゴリにかかわらず、あらゆるアプリケーションでシンプルかつ効果的にサブスクリプションを組み込むことができます。

自動更新サブスクリプションについて

自動更新サブスクリプションは、ユーザーがアプリケーションのコンテンツやサービスを継続的に利用できるようにします。ユーザーがキャンセルしない限り、サブスクリプションの期間が終了すると自動的に期間が更新されます。

サブスクリプションを提供するアプリケーションは、高品質なコンテンツ、機能やサービスを通してユーザーにとっての価値を常に提供することで、定期的な収入に値するものになります。サブスクリプションモデルの導入を検討している場合は、機能強化やコンテンツの拡充を通して、アプリケーションを定期的にアップデートするようにしましょう。

1年経過後に収益率が85%に

自動更新サブスクリプションは、App Storeにおける他のビジネスモデルとは収益モデルが異なります。初年度はそれぞれの請求サイクルで、サブスクリプションの価格の70%から税額を差し引いた金額がデベロッパに支払われます。サブスクリプションが1年間更新されると、2年目の収益率はサブスクリプションの価格の85%に引き上げられ、そこから税額を差し引いた金額がデベロッパに支払われます。

同じサブスクリプションのグループでアップグレード、ダウングレード、クロスグレードが行われた場合、サブスクリプションの日数は引き継いで加算されます。サブスクリプションが一度キャンセルされた場合でも、その後60日以内に再開されると、中断前の日数を引き継いで加算されます。ただし、60日の猶予期間を過ぎてからサブスクリプションが再開された場合、以前の有料サービスの日数はリセットされ、1年を経過するまで収益率はサブスクリプションの価格の70%となります。サブスクリプションがキャンセルされる度ごとに、新しい猶予期間が付与されます。

サブスクリプションを作成する

アプリケーションにサブスクリプションを組み込むには、App内課金のAPIを使用します。提供するそれぞれのApp内課金は、サブスクリプショングループに組み込まれます。サブスクリプショングループとは、ユーザーのさまざまなニーズに合わせて、コンテンツの内容、サービスレベル、期間が異なるさまざまなApp内課金をグループにしたものです。

ユーザーが1つのサブスクリプショングループで一度に購入できるサブスクリプションは1つのみです。同じグループのサブスクリプションを複数購入できるようにすることを希望するユーザーがいる場合(ストリーミングアプリケーションで複数のチャンネルに申込む場合など)は、それぞれのApp内課金を別のサブスクリプショングループに分けて指定する必要があります。

アップグレード、ダウングレード、クロスグレード

ユーザーは、App Storeのアカウント設定でサブスクリプションを管理することができます。各サブスクリプションの管理画面にはそのサブスクリプションのグループで提供されている更新オプションがすべて表示されるため、さまざまなサービスレベルを簡単に比較検討し、同じサブスクリプションのグループでのアップグレード、ダウングレード、クロスグレードを何度でも実行することができます。

ユーザーが、期間の長さが同じまたは異なる別のサブスクリプションにアップグレードした場合や、期間の長さが同じ別のサブスクリプションにクロスグレードした場合、サービスレベルの変更はただちに有効となります。一方、ユーザーが、期間の長さが同じまたは異なる別のサブスクリプションにダウングレードした場合や、期間の長さが異なる別のサブスクリプションにクロスグレードした場合、変更は次回の更新日から有効となります。

できる限りサブスクリプションのラインナップをシンプルにして、ユーザーがオプションを簡単に選べるようにしてください。同じサブスクリプショングループの異なるApp内課金には、相互に区別しやすいよう、内容を明確に示す分かりやすい名前を付けます。混同されることのないよう、アプリケーションの名前、サブスクリプショングループの名前、サブスクリプションのApp内課金の名前には明確な用語を使用してください。

App内課金のランク付け

同じサブスクリプションのグループに含まれるApp内課金にランクを付けて、アップグレード、ダウングレード、クロスグレードの方向を定めることができます。サブスクリプションのレベルは降順で並べ、サービスレベルが最も高いものが最初に表示されるようにしましょう。

お試し価格で新しい利用者を獲得する

自動更新サブスクリプションでは、割引価格やサブスクリプションの開始時に一定期間の無料トライアルを提供することができます。サブスクリプションごと、地域ごとに以下のお試し価格のタイプの1つを提供することができます。

都度払い。一定期間にわたり、お試し価格を請求期間ごとに支払う方法です(月額9.99ドルのサブスクリプションを、3か月間は月額1.99ドルで利用できるようにするなど)。割引が繰り返し適用されるため、価格を重視するユーザーへの訴求力を高めたい場合に効果的です。同時にデベロッパには、サブスクリプションの価格を一定期間経過後に通常価格に戻せるというメリットがあります。

前払い。お試し価格を1回支払うと、サブスクリプションが一定期間利用できるようになる方法です(通常は年間39.99ドルのサブスクリプションを9.99ドルで半年間利用できるようにするなど)。サブスクリプションの次回更新時までコンテンツを十分に楽しんでもらえるよう、お試し期間を長く設定する場合に効果的です。

無料トライアル。一定期間無料でサブスクリプションを利用できるようにする方法です。サブスクリプションはすぐに開始されますが、無料トライアル期間が終了するまで請求が行われることはありません。サブスクリプションを試してもらいながら、請求が発生する前にキャンセルすることもできるようにする場合に効果的です。

サブスクリプションをお試し価格で提供するには、各App内課金をApp Store Connectで管理し、対象となるユーザーに情報を表示できるようアプリケーションにStoreKit APIを実装する必要があります。

魅力を伝え、簡単に登録できるようにする

アプリケーション内やマーケティングメッセージでサブスクリプションを紹介する際は、サブスクリプションの価値をユーザーが理解しやすいよう、明確で一貫したメッセージを提示しましょう。また、サブスクリプションのバリュープロポジションを行い、登録を促す簡潔な呼びかけや、価格やサブスクリプションの利用条件に関して明確に記載してください。

購入の流れはシンプルにし、事前に入力を求める情報は必要最小限にしてください。手順が多すぎたり、登録に時間がかかりすぎたりすると、サブスクリプションのコンバージョン率が低下します。

アプリケーションの公開時にサブスクリプションの登録を促す呼びかけを行い、アプリケーションのインターフェイス内のさまざまな場所でサブスクリプションのボタンを常に表示することも考慮しましょう。

地域別の価格を設定する

自動更新サブスクリプションを組み込んだアプリケーションでは、地域別の価格をすべての通貨でそれぞれ200に及ぶ価格帯から選択できます。各マーケットの状況に応じて、マーケットごとに異なる価格を設定することもできれば、どのマーケットでも同等の価格になるよう設定することもできます。App Store Connectの価格設定ツールを使用すると、現在の為替レートに基づいて価格を管理できます。特定の地域で税制の変更や通貨の調整が行われた場合、デベロッパがその影響をユーザーに課することにしない限り、通常はサブスクリプションの価格に影響が及ぶことはありません。

特定のマーケットでサブスクリプションの価格を変更する場合は、実行に移す前に、そのマーケットでの価格が税込みであるかどうかを把握することが重要です。たとえば、ドイツのユーザーに向けたサブスクリプションの価格を引き下げる場合、収益は購入価格からEUの付加価値税(VAT)とAppleの手数料を差し引いた額になります。App Store Connectの価格設定ツールでデフォルトの価格設定を使用すると、税率考慮済みの金額が提示されます。詳細については、Apple Developer Program使用許諾契約の添付資料2に記載されている、異なる税務上の取扱いをする地域に関しての説明をご確認ください。

値上げの通知

自動更新サブスクリプションを組み込んだアプリケーションでは、新規ユーザー向けの価格を引き上げながら、既存の利用者が支払う価格は据え置くという対応ができます。デベロッパがサブスクリプションの価格を引き上げる際は、Appleから影響を受ける利用者にEメールとプッシュ通知で連絡し、値上げの通知と新しい価格への同意確認を行います。利用者が値上げに同意しない場合や何も応答しない場合、現在の請求サイクルの終了時にサブスクリプションが終了します。サービスを中断なく楽しんでもらえるよう、アプリケーション内の表示やメーリングリストなどを使って、サブスクリプションを継続するための行動を促すメッセージを届けるようにしてください。

お試し価格でサブスクリプションを利用しているユーザーは、お試し期間の終了後に通常価格での請求を受けることに同意済みであると見なされるため、サブスクリプションを継続するためにさらに何らかの手順を行うことは求められません。

既存の利用者に向けた価格を管理する

新規ユーザー向けの価格を引き上げながら既存の利用者が支払う価格を据え置く場合、対象とする既存の利用者の数に制限はありません。

すべての利用者が同じ価格でサブスクリプションを利用していない状況で、すべての利用者に最新の価格を適用させたい場合、支払っている金額が最新の価格に最も近いグループにまず適用し、その後2番目に近いグループに適用する、という形で進めると効果的です。このようにすることで、値上げに同意を求める通知が何度もユーザーに届くことを防止できます。

既存の利用者は値上げに同意する必要があるため、利用者が価格変更を受け入れない場合は利用者数が減少することになります。そのため、価格に関する決定を下す際は事前に対象マーケットの相場を調査し、値上げが利用者の保持にどのような影響を及ぼす可能性があるかよく検討するようにしてください。

同じサブスクリプショングループでのアップグレード、ダウングレード、クロスグレードが行われた場合、従来の価格を据え置くことはできず、新しいサブスクリプションの最新の価格が適用されます。

レシートの情報を利用して利用者を保持する

自動更新サブスクリプションのレシートには、ユーザーのサブスクリプションの状況に関するリアルタイムの情報が記載されています。この情報を利用すると、サブスクリプションが現在有効かどうかを判断したり、過去の特定の時点におけるサブスクリプションの状態を把握したりすることができ、サブスクリプションの新規登録、更新、中断への対応や、期限が切れたサブスクリプションへの適切な対応ができるようになります。

アプリケーションにレシート検証コードを導入してApp内課金を検証し、ユーザーがサブスクリプションのコンテンツを正しく利用できているかどうかを確認してください。また、サーバ側でのレシート検証や通知を実装することもできます。レシートの情報を利用すると、ユーザーがサブスクリプションを乗り換える原因を見極め、関連性のあるメッセージを表示してユーザーを維持するための対策を講じることができるようになります。

たとえばユーザーがサブスクリプションをキャンセルする際に、Eメールやアプリケーション内で専用のメッセージを届けることができます。このようなメッセージでは、コンテンツの価値を伝えたり、現在のサブスクリプション期間の終了前に再開を勧めたりすることができます。

今後の値上げについて利用者に通知する際、値上げを実行する前に、ユーザーの同意状況を追跡確認することができます。ユーザーが値上げに同意していない場合、サブスクリプションが終了する前に別のサービスレベルやコンテンツのプロモーションを行うと効果的です。

請求に関する問題(クレジットカードの有効期限切れなど)が発生した場合、デベロッパは問題の解決後にサービスが再開される具体的なタイミングを確認することができます。または、App Storeでサブスクリプションの更新が試行されている間はサービスの提供を継続するようにすることもできます。

売上とトレンド」でサブスクリプションを測定する

App Store Connectの「売上とトレンド」を使用すると、サブスクリプションの地域、期間、タイプごとのパフォーマンスを簡単に把握することができます。

サブスクリプションの概要ページでは、サブスクリプションの更新、コンバージョン、キャンセルなどのうち、過去30日以内で最も頻繁に発生したイベントを確認できます。お試し価格を複数のタイプで提供する場合(無料トライアルと、前払いの両方を提供する場合など)は、どのタイプのコンバージョン率が高いかを知ることで、それぞれのタイプの効果性を分析することができます。また、これにより、有料サービスを1年以上継続して利用し、高い収益率を生み出している利用者がどれくらいいるかを見極めることもできます。

サブスクリプションのリテンションページでは、地域や期間の異なるさまざまなグループのリテンション率を比較し、どのグループのユーザー保持の割合が高いかを知ることができます。たとえば、特定の月に開始されたすべてのサブスクリプションのデータを見て、更新期間が1回、または6回など経過した後にも利用を継続しているユーザーの数を把握することができます。

サブスクリプションを複数のアプリケーションで提供する

自動更新サブスクリプションを、ポートフォリオに含まれる複数のアプリケーションで提供することができます。それぞれのアプリケーションは自動更新型 App内課金の使用承認を得ており、同じデベロッパ名義でApp Storeに公開されている必要があります。

複数のアプリケーションで提供するサブスクリプションは、ユーザーがどのアプリケーションからでも利用できるようにするため、App Store Connectでそれぞれのアプリケーション内に同じ自動更新型App内課金を個別に設定する必要があります。同じサブスクリプションへの支払いが重複することがないよう、サブスクリプションのオプションをユーザーに表示する前に、デベロッパは各ユーザーがいずれかのアプリケーションでそのサブスクリプションを現在利用していないかどうかを確認する必要があります。確認を効果的に行うため、ユーザーがデベロッパが提供するサービスを利用するためのアカウントを作成して、各アプリケーションにサインインするアカウント管理用システムを運用することも検討してください。