アプリパフォーマンスの測定

ユーザーがどのようにアプリを見つけて利用しているのかを理解すれば、優れたアプリ体験を生み出し、ビジネスの成長につなげることができます。App Store Connectの「App Analytics」、「売上とトレンド」、「支払と財務レポート」では、ほかでは見つけることのできない有益なデータを得ることができます。

「App Analytics」のユーザー獲得情報

iOS、iPadOS、macOS、tvOS向けアプリのダウンロード数やApp Storeでのコンバージョン率、マーケティングキャンペーンのパフォーマンスを測定できます。

アプリのダウンロード数

「合計ダウンロード数」には、アプリがダウンロードされた回数が表示されます。ダウンロード数は、テリトリ別、デバイス別、ソース別に確認できます。この指標には、アプリの初回ダウンロード数と再ダウンロード数が含まれます。

初回ダウンロードは、ユーザーがアプリを初めてデバイスにダウンロードした際にカウントされます。「App Analytics」には、初回ダウンロード数の概要とともに、テリトリ別、デバイス別、ソース別の内訳が表示されます。特定期間のデータを見るには、カスタム日付範囲を選択します。

再ダウンロードは、アプリを以前にダウンロードしたことのあるユーザーが再度デバイスにそのアプリを追加した際にカウントされます。再ダウンロード数を確認するには、「メトリックス」タブを開き、ポップアップメニューの「再ダウンロード数」をクリックします。

ダウンロードがどこで発生しているか詳しく把握するには、「ソース」タブをクリックし、ポップアップメニューでダウンロードのタイプを選択します。ソースは、ユーザーがApp Storeのプロダクトページへのリンクを利用した場合にカウントされます。ソースには、「App Storeの閲覧」、「App Storeの検索」、「参照元アプリ」、「参照元Web」、「App Clip」の5つのタイプがあります。「参照元アプリ」や「参照元Web」の詳細は、ポップアップメニューで該当する各ソースを選択してください。ユーザー獲得ソースの測定については、「App Store Connectヘルプ」を確認してください。

App Storeでのコンバージョン率

コンバージョン率は、App Storeが閲覧された後にダウンロードされた割合の把握に役立ちます。App Analyticsでは、ユニークインプレッション数に対する合計ダウンロード数の割合として、コンバージョン率を算出します。ユニークインプレッション数は、App Storeの「Today」、「ゲーム」、「アプリ」、「検索」タブ、またはプロダクトページでアプリが閲覧された場合にカウントされます。たとえば、アプリのユニークインプレッション数が100で合計ダウンロード数が50だった場合、コンバージョン率は50%になります。コンバージョン率は、「メトリックス」タブをクリックして、ポップアップメニューで「Conversion Rate(コンバージョン率)」を選択すれば簡単に確認できます。このデータを「ソースタイプ」別に表示させて、最もコンバージョン率が高いソースを特定することも、個別のソースでフィルタしてその詳細を確認することもできます。この情報を活用すれば、パフォーマンスを経時的に測定して、プロダクトページへの変更がどのようにコンバージョン率に影響するかを把握できます。

キャンペーンのパフォーマンス

キャンペーンリンクを作成すると、App Storeのプロダクトページにユーザーを誘導できます。これにより、各マーケティングチャネル(Webサイト、ソーシャルメディア、Eメール、有料広告、他のアプリでのクロスプロモーションなど)のパフォーマンスを測定できます。さらに、別の文言、コールトゥアクション、アイコン、キャラクター、スクリーンショットを使用した広告など、複数のマーケティングクリエイティブのリンクを作成すると、どのクリエイティブでダウンロードがより多く発生しているかを調べることができます。キャンペーンに使用した特定の要素によってコンバージョン率が上がった場合、それらの要素をApp Storeのプロダクトページでも使用するとよいでしょう。また、Safariのスマートアプリバナーからのダウンロード数や、StoreKitを使用してプロダクトページに表示させたアプリ内のクロスプロモーションを経由したダウンロード数も測定できます。

キャンペーンのパフォーマンスを把握するには、「ソース」タブから「キャンペーン」をクリックし、作成したキャンペーンリンクごとに、インプレッション数、合計ダウンロード数、売上、セッション数を確認します。キャンペーン名をクリックすると、その詳細を確認できます。また、「メトリックス」タブをクリックして、「保存済みビュー」の下にある「Conversion Rate(コンバージョン率)」を選択し、「キャンペーン」別の表示にすれば、個々のキャンペーンでのコンバージョン率を確認できます。キャンペーンリンクの生成およびプロモーションの測定について、詳しくは「App Store Connectヘルプ」の「キャンペーンの成果を測定する」を参照してください。

予約注文

アプリのリリース日前に予約注文を行い、リリースされ次第アプリが自動的にダウンロードされるようにすることができます。アプリを予約注文として公開すると、そのアプリの現在の予約注文数が「概要」ページに表示されます。アプリがApp Storeでリリースされた後は、アプリを予約注文したユーザーからのダウンロード数と売上を確認することができます。また、「売上とトレンド」の「予約注文」セクションには、予約注文数、キャンセルの件数、および実際のダウンロード数も表示されます。アプリを予約注文に対応させる方法について詳しくは、「アプリの予約注文に対応する」を参照してください。

「App Analytics」のユーザーエンゲージメント情報

iOS、iPadOS、macOS、tvOS向けアプリについて、アクティブなデバイス数、セッション数、リテンション率といったアプリの使用状況、およびユーザー獲得ソースを測定できます。使用状況データには、診断や使用に関する情報を共有することに同意しているユーザーのデータのみが含まれます。サブスクリプション登録者のリテンションに関する情報は、サブスクリプションパフォーマンスの測定を参照してください。

アクティブなデバイス数とセッション数

セッション数は、アプリが2秒以上使用された場合にカウントされます。アクティブなデバイス数とは、特定の期間内に少なくとも1回のセッションがあったデバイスを意味します。「概要」ページには、アクティブなデバイス1台あたりのセッション数が表示され、数字をクリックすると詳細を確認できます。これは、アプリの一般的な使用状況を把握し、目標とする使用状況の達成度を測定する上で役立ちます。このデータを異なるディメンションで表示またはフィルタして、さらに詳しい情報を得ることもできます。以下はその例です。

  1. 「キャンペーン」でフィルタすると、利用頻度が高いユーザーを獲得するために最も効果的なキャンペーンを確認できます。
  2. 「テリトリ」別の表示にすると、特定の地域のユーザーによるアプリの利用頻度がほかよりも高いかを確認できます。特定のテリトリにおいてアクティブなデバイス1台あたりのセッション数の割合が低い場合は、ローカリゼーションの質や、オンボーディングのわかりやすさ、地域によって機能の使い方が異なるかどうかなど、さまざまな要因を洗い出した上で、アプリ体験を改善し、利用を促すための方法について検討してみましょう。
  3. 「デバイス」でフィルタすると、特定のデバイスでアプリを利用しているユーザーによる利用頻度がほかよりも高いかを確認できます。このデータを確認することで、どのデバイスタイプ向けのアプリを優先的に最適化すればよいかがわかります。
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リテンション率

「リテンション率」タブでは、初回インストール後にアプリが使用されたデバイスの割合が日ごとに表示されます。これは、ユーザーが初回のアプリ体験に満足しているかを把握するために役立ちます。リテンション率が低い場合は、オンボーディングの内容を変更し、ユーザーがアプリを理解しやすくなるようにした上で、リテンション率が改善するかを確認するとよいでしょう。このデータを異なるディメンションでフィルタして、さらに詳しい情報を得ることもできます。以下はその例です。

  1. 「アプリのバージョン」でフィルタすると、「日次リテンション率」の表で、リテンション率が以前のバージョンから改善しているかを確認できます。
  2. 「ソースタイプ」または「キャンペーン」でフィルタすると、「日次リテンション率」の表で、獲得ソースまたはキャンペーンに基づいたリテンション率を確認できます。
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購入ユーザー1人あたりの収益

購入ユーザーとは、アプリまたはアプリ内課金アイテムを購入した、Apple IDに基づく固有ユーザーを意味します。購入ユーザー1人あたりの収益は、「メトリックス」タブで「収益」を選択し、このデータと購入ユーザー数に基づいて確認できます。アプリの異なるバージョンでこのデータが変動しているかを確認することで、アプリのアップデートがユーザーによる購入に影響しているかについて、理解することができます。このデータを異なるディメンションでフィルタして、さらに詳しいインサイトを得ることもできます。以下はその例です。

  1. 「テリトリ」別に表示すると、購入ユーザー1人あたりの収益の割合が最も高いテリトリを特定できます。これらの地域のユーザーは、アプリの購入またはアプリ内課金を行う傾向が強い可能性があります。
  2. 「参照元アプリ」などのソースタイプでフィルタすると、他のソースに比べてより多くの購入ユーザーを獲得している特定のソースがあるかどうか、確認することができます。
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「売上とトレンド」の収益性とビジネスパフォーマンスに関する情報

iOS、iPadOS、macOS、tvOSにおけるアプリおよびアプリ内課金の日毎のパフォーマンスを測定できます。ユーザーがApp Storeまたはアプリ内でトランザクションを開始するとデータが記録されます。iMessageアプリやステッカーパックのデータは、iOSに関連するデータであることに注意してください。

詳しくは、以下のリソースを参照してください。

アプリ内課金

アプリ内課金には、消耗型、非消耗型、自動更新サブスクリプション、非更新サブスクリプションがあります。アプリ内課金の概要を見るには、「概要」ページの「アプリ内課金」セクションを確認してください。選択した日付から遡って過去30日間にすべてのアプリで行われたアプリ内課金の件数を確認できます。

復元されたアプリ内課金は含まれません。さらに詳しい情報は、「トップアプリ内課金」をクリックし、「ユニット数」ページをアプリ内課金でフィルタして確認してください。このデータを異なるディメンションで表示またはフィルタすると、さらに詳しい情報を得ることができます。以下はその例です。

  1. 「テリトリ」別の表示にすると、どこで最も多くのアプリ内課金が行われているかを把握することができます。これは、新しくリリースしたアプリ内課金の成長を測定するために役立ちます。
  2. 「コンテンツ」でフィルタした後に、特定のアプリ内課金アイテムの名前またはApple IDを入力すると、そのパフォーマンスに関するデータを確認できます。
  3. 「親アプリ」でフィルタすると、最も人気のあるアプリ内課金など、そのアプリに関連するアプリ内課金の内訳を確認できます。
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売上

「概要」ページで「売上」セクションを表示すると、適用される税金も含め、提供するすべてのアプリ、アプリ内課金、バンドルでの売上の合計を確認できます。売上は前月の為替レートのローリング平均に基づき、米ドルで見積もられます。合計からは払い戻しの金額が差し引かれます。売上の合計は、Appleがユーザーに請求し、支払いを受け取ったときではなく、ユーザーがトランザクションを開始したときに計上されることに注意してください。

売上の内訳をコンテンツタイプ別に把握するには、「売上」ページを確認してください。選択した期間の売上の合計や、過去の特定期間に対する変化の割合(たとえば、前月の売上に対する今月の売上の比較)が表示されます。また、1日あたりの売上を示したグラフも表示されます。このデータを異なるディメンションで表示またはフィルタすると、さらに詳しい情報を得ることができます。以下はその例です。

  1. 「コンテンツタイプ」でフィルタすると、売上が最も高いアプリおよびアプリ内課金を確認できます。特定のアプリの売上データには、そのアプリで提供されるすべての消耗型コンテンツの売上が含まれています。
  2. 「テリトリ」別の表示にすると、ある期間での売上が最も高い場所を確認できます。特定のテリトリをクリックすれば、そのテリトリの売上の概要と以前の期間との比較を見ることができます。この情報は、「テリトリ」でフィルタして、特定のテリトリを選択して確認することもできます。
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「支払と財務レポート」の最終収益に関する情報

月次の収益の合計、販売されたユニット数の合計、さらにはテリトリ別の支払いの詳細を確認できます。これらの情報は、「レポートを作成」ボタンをクリックすることで月次レポートとして手動でダウンロードすることも、ReporterまたはApp Store Connect APIを使って自動でダウンロードすることもできます。収益はご利用の銀行口座の通貨で分散されます。

ご利用の銀行に支払いがまだ振り込まれていない場合は、ページの上部に「推定収益合計」が表示されます。実際に受け取る金額は、支払い時の外国為替レートの変動や適用される源泉徴収税の変更に応じて変わる可能性があります。

支払いが銀行に振り込まれている場合は、ページの上部に「Total Proceeds(収益合計)」が表示されます。これは、該当の地域およびレポート期間で支払われた最終収益を表しています。

詳しくは、「App Store Connectヘルプ」の「支払いの受け取り」を参照してください。