新しいマーケットにアプリを展開

175地域を対象に50言語で利用できるApp Storeでは、世界中のユーザーがアプリを簡単に見つけてダウンロードすることができます。アプリをローカライズすれば、さまざまな文化や言語にアプリを対応させることができ、ビジネスを拡大するチャンスが生まれます。全世界のユーザーに向けてアプリを準備する方法と、新しいマーケットへの展開にあたって考慮すべき事項を紹介します。

    ローカリゼーションを念頭に置いたアプリの構築

    インターナショナリゼーションは、世界中のユーザーに向けたアプリを構築する際のステップとして不可欠です。アプリをインターナショナライズする際は、ユーザーに表示されるテキストや画像などの要素をより翻訳しやすくするため、コードやUIをローカリゼーションに対応できるように設計しましょう。

    iOSおよびiPadOSでは、デバイスでの設定言語とは独立して、アプリでの使用言語をユーザーが選択できます。これにより、多言語ユーザーがアプリの言語を簡単に切り替えられるようになっています。macOSでは、ユーザーはシステム設定の「言語と地域」セクションでアプリの言語を設定できます。

    Appleでは、追加したい言語が決まっていない段階でも、アプリが複数の言語や地域に対応できるよう、強力なツールやテクノロジーを提供しています。ここでは、その一部をご紹介します。

    XcodeXcodeでは、ユーザーに表示されるテキストおよび画像を自動的に分離し、バイナリコードや実行可能コードと区別できます。 これにより、テキストや画像要素を追加言語に翻訳し、ローカライズされた個別のリソースファイルとしてアプリバンドル内に統合してアプリに組み込むことができます。画像セット、Apple TVの画像スタック、Sprite Atlas、シンボルセットなどのアセットも、Asset Catalog内で直接管理したりローカライズしたりできます。また、String Catalogを活用すれば、テキストの翻訳、複数形の処理、デバイスごとの表示テキストの切り替えも可能です。String Catalogをプロジェクトおよびビルドに追加すると、Xcodeはコード内にあるローカライズ可能な文字列を自動的にトラッキングし、String Catalog間の同期を維持します。

    SF Symbolsアプリ内で使用できるローカライズ済みのシンボルを入手できるほか、アラビア語やヘブライ語のような右から左に書く言語向けのカスタムシンボルの表示方向を簡単に設定することもできます。

    Foundationフレームワークユーザーに表示される値や動的に生成される値(日付、長さ、重さ、価格、通貨記号など)を、さまざまなロケールに合わせて適切に表現することができます。シームレスな体験を提供できるよう、アプリ内のコンテンツおよびユーザーが入力するテキストの両方で、あらゆる言語と複数言語をサポートするようにしましょう。そうすることで、ユーザーは自分が理解しやすい言語や形式でアプリのコンテンツを見ることができます。またこれらのテクノロジーを使用して、SwiftUIやAuto Layoutによるビューのサイズやレイアウトの自動調整、幅広いUnicodeサポートを活用したあらゆる言語テキストへの対応、CocoaとCocoa Touchのパワフルなテキスト処理技術による複数言語でのテキストの表示、レイアウト、編集など、さまざまな機能を活用することができます。

    SwiftUIユーザーが希望する言語でアプリを利用できるように、SwiftUIビューをローカライズします。ローカリゼーション作業を簡素化するため、XcodeはビルドのたびにSwiftUIビュー内のローカライズ対象文字列を自動的に解析して、String Catalogを自動的に最新の状態に保ちます。テキストビューにコメントを追加しておけば、コンテンツがアプリ内のどこに表示されるかを翻訳者が把握しやすくなるため、翻訳作業がより容易になります。

    リソース

    世界中のユーザーに向けた準備

    マーケット要素の調査

    人口、言語、購買力といったマーケットごとの統計情報は、アプリへの親和性やニーズが見込める地域をよりよく理解する上で役立ちます。どのマーケットにも、その地域のユーザー特有の傾向があり、好まれるアプリやカテゴリの種類が異なっています。たとえば、ゲームは世界中どこでも人気がありますが、特定の地域では、戦略系のゲームの人気が特に高いかもしれません。ビジネスの拡大を容易にするため、アプリのダウンロード数、販売数、使用状況、リテンション率などの指標ですでに高い成果を得ているマーケットと似た特性を持つマーケットを選ぶとよいでしょう。マーケットを選ぶ際は、アプリ自体、そしてその価値や機能が、マーケットのニーズにどの程度合っているかを見極めてください。そのマーケットで未開拓のニーズを特定し、アプリを通してユーザーにユニークな価値を提供できる場合もあります。

    アナリティクスを使用した潜在的なマーケットの特定

    アプリを世界中で配信しているものの、特定の地域に向けたローカリゼーションを行っていない場合は、プロダクトページ閲覧数、アプリのユニット数、売上、アクティブなデバイス数などの重要なパフォーマンス評価指標について、テリトリ別にフィルタリングして確認できます。これにより、アプリが特定の地域でユーザーの関心を引いているかを確認でき、その地域でローカライズするメリットがあるかを判断しやすくなります。たとえば、主に英語で提供しているアプリについて、ドイツのアクティブなデバイスにおけるリテンション率やセッション数が平均より低い場合は、ドイツ語を追加することを検討してもよいでしょう。アプリの主な言語での理解度が比較的高いマーケットもあれば、相当なローカリゼーションの労力を必要とするマーケットもあることを考慮しましょう。アクティブなデバイス数、セッション数、リテンション率といった使用状況データには、診断や使用状況に関する情報をデベロッパに共有することに同意しているユーザーのデータのみが含まれます。

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    対象地域の文化や慣習への配慮

    アプリやプロダクトページでは、すべてのマーケットで一貫した体験を提供することが理想的ですが、文化的背景に合わせて特定の要素を調整することが有益な場合もあります。たとえば、そのマーケットに特有のコンテンツや文化的イベント(祝祭日用の特別なコンテンツや地域のアートスタイルなど)をアプリに組み込むことができます。さらに、現地のポリシー、対象地域における規制事項、政治的または宗教的な側面などを考慮して、アプリがスムーズにユーザーに受け入れられるよう配慮するとよいでしょう。

    アプリのローカライズ

    アプリ内コンテンツの翻訳

    Xcodeの「Export For Localization」機能を使えば、コードで参照される文字列、String Catalog、Interface Builderのファイル、アセットなど、ローカライズ可能なコンテンツをすべて自動抽出することができます。ソースコードを修正する必要がないため、翻訳作業を社内で行うか外部のローカリゼーションサービスを利用するかにかかわらず、翻訳作業が容易になります。また、XcodeプロジェクトのString Catalog内で直接翻訳を追加したり編集したりすることもできます。アプリの体験を一貫したものにするため、必ず目的文字列もローカライズしてください。また、データの取り扱いをすべてのユーザーが明確に理解できるよう、プライバシーポリシーも翻訳するようにしてください。

    Appleのサービス:AppleのAPIを使用すると、Apple PayAppleウォレット、「Appleでサインイン」用のローカライズされたボタン、ペイメントシート、エラーメッセージなどを自動的に表示することができます。

    オーディオビジュアルメディア:AVKitおよびAVFoundationを使用して、アプリ内のオーディオビジュアルメディアを別言語に対応させることもできます。これらのフレームワークを使用すると、字幕やクローズドキャプションを簡単に表示する機能や、オーディオやビデオの代替トラックの選択機能を組み込むことができます。

    ローカリゼーションサービス:外部のローカリゼーションサービスを利用してコンテンツを翻訳する場合は、そのサービスが特定の言語、文化、カテゴリを専門的に扱っているかどうかを調べ、提供される品質保証のレベルを確認してください。その会社にアプリやコンテンツに関する背景情報を提供することで、翻訳の効率を高め、翻訳エラーを最小限に抑えることができます。重要な情報を記したガイドラインを作成するとよいでしょう。たとえば、キャラクターの名前や性格を紹介した説明書、ジョークやユーモアの説明、よく使用される用語の用語集、訳文が使用される場所のスクリーンショットなどを提供すると効果的です。なお、機械翻訳だけに頼ることは避けましょう。機械翻訳では、文脈、文化的な配慮、言葉のニュアンスを考慮することができず、不正確で低品質な翻訳になる恐れがあります。たとえば、ホテルのアプリにある「Book」というボタンが、「予約」ではなく「本」と間違って翻訳されてしまうといった事態が起きる可能性があります。

    ローカリゼーションのテスト

    Xcodeでテストプランを設定して、さまざまな環境設定で簡単にテストし、さまざまなテストケースを1か所で定義しましょう。これにより、サポートするデバイスや言語で、表示の欠落やレイアウトのオーバーラップ、右から左に書く言語に関連した問題が発生していないかどうかを確認することができます。Localization Screenshots機能を使用すると、テストが成功した後、ローカライズ済みのスクリーンショットを生成して書き出し、チュートリアル、マーケティング資料、App Storeのプロダクトページで使用することができます。アプリをローカライズしたら、TestFlightを使用して、対象マーケットのユーザーグループにアプリを共有し、有益なフィードバックを集めてアプリの改善を図りましょう。

    String Catalogや複数言語へのローカリゼーション設定など、ローカリゼーションの書き出しおよび翻訳のワークフローが見て取れる、Xcodeのインターフェイス

    公開に向けた準備

    プロダクトページのローカライズ

    App Store Connectで、アプリの説明、キーワード、アプリプレビューなど、アプリが対応している各地域向けのApp Storeのメタデータをローカライズしましょう。また、アプリ名を翻訳したり、各マーケットの傾向に合わせてスクリーンショットをカスタマイズしたりすることで、各地域のユーザーにアプリの魅力をより効果的にアピールすることができます。App Store Connect APIを使えば、メタデータのアップロードや複数のローカリゼーションの管理を自動化することができます。

    各地域における支払い方法と価格

    支払い処理はApp Storeが行うため、コンテンツを簡単に世界中のユーザーに届けることができます。ユーザーは、クレジットカード、デビットカード、キャリア決済、デジタルウォレット、App StoreおよびiTunesのギフトカードで、アプリやアプリ内購入の支払いをすることができます(地域によって利用できる方法が異なります)。

    アプリやアプリ内購入の価格を決定する際は、App Store Connectで価格帯を選択します。価格帯には、それぞれの地域のマーケットに合わせて適切に調整された価格がすでに設定されています。必要に応じて、任意の地域のアプリ内購入の価格設定を手動で管理することもできます。自動更新サブスクリプションの場合は、利用可能なすべての通貨と価格帯で、800の価格ポイントから各ストアフロントに合った適切な価格を選択できます。リクエストにより、さらに高額な100の追加価格ポイントも利用できます。

    マーケティング戦略の適合

    アプリを新たなマーケットで公開する際は、マーケティング戦略をその地域に適合させて、アプリとその価値をユーザーが簡単に理解できるようにしましょう。現地のユーザーの間で特に人気のあるソーシャルネットワークなどのマーケティングチャネルを把握し、それらを活用してアプリの認知度を高めます。各マーケットによってこれらのチャネルに大きな違いがある場合があります。スクリーンショット、バナー、広告など、マーケティングやユーザー獲得のために使用する資料もローカライズしましょう。

    App Storeバッジ:アプリのダウンロードを促すため、コミュニケーションの中で「App Storeからダウンロード」バッジを使用してください。アプリが各地域のユーザー向けに提供されていることがわかるよう、ローカライズ済みのバッジが用意されています。バッジは、「App Storeマーケティングツール」からダウンロードできます。

    App Storeマーケティングツール:App Storeのプロダクトページにつながるショートリンクや埋め込み可能なコードを生成し、アプリのアイコン、QRコード、App Storeのバッジを表示することができます。また、各地域でアプリを宣伝できるよう、バナーや画像といったカスタムのマーケティングアセットを作成したり、多言語のメッセージを事前設定することもできます。詳しくは「App Storeマーケティングツール」をご覧ください。

    Apple Ads:App Store全体でアプリをプロモーションしましょう。「Today」タブ、「検索」タブ、検索結果、プロダクトページの下部に広告を表示することで、ユーザーにリーチできます。91の国や地域で利用可能です。100米ドル相当のクレジットを使用して無料でお試しいただけます。*詳細情報やデベロッパの成功事例をご覧ください

    *利用資格のあるデベロッパがApple Adsに登録すると、新規アカウントに100米ドル分のクレジットが追加されます。該当する利用規約がすべて適用されます

    成果の評価

    さまざまな地域のユーザーがあなたのアプリをどのように見つけ、利用しているかを把握するため、App Store Connectのアナリティクスを活用しましょう。たとえば、次のような情報を確認できます。

    • App Storeでの検索や閲覧中にアプリを見つけたユーザーの数
    • App Storeでアプリを閲覧した後にアプリをダウンロードしたユーザーの割合、初回ダウンロード数、再ダウンロード数
    • アクティブなデバイスの台数、インストール数、セッション数などのエンゲージメントデータ

    パフォーマンス指標の表示や、地域単位でのフィルタリングを行えば、さらに多くのインサイトが得られます。たとえば、アプリの提供を最近開始したばかりの地域のデータと、アプリの提供が始まってからしばらく経っている地域のデータを比較してみます。この情報は、マーケティング戦略の調整やローカライズの強化がパフォーマンス向上に役立つかどうかの参考になるでしょう。選択したマーケットで成果が出たら、新しいマーケットを見つけて追加のローカリゼーションを行い、世界中のさらに多くのユーザーに優れた体験を届けましょう。

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