始める前に

iOS 7では、境界のないボタン、半透明のバー、ビューコントローラの全画面レイアウトなど、UI(ユーザインターフェイス)を多数変更しました。Xcode 5上でiOS 7向けのプロジェクトを設定し、ビルドしたアプリケーションをiOS 7シミュレータで実行すれば、新しい環境における外観を確認できます。

たとえば次の『 TheElements 』サンプルプロジェクトで、2つの版の違いは、想定する実行環境(ターゲット)と、これを実行しているシミュレータだけです。

「TheElements」をiOS 7シミュレータ上で実行している様子 「TheElements」をiOS 6シミュレータ上で実行している様子
../Art/first_look_7_2x.png ../Art/first_look_6_2x.png

早速アプリケーションの更新作業に取りかかりたいところですが、その前に考えておくべきことがいくつかあります。

組み込みアプリケーションを操作してみれば、iOS 7に採り入れられた変更は、巧妙かつ深甚であることが分かるでしょう。見慣れたUI要素は、認識しやすいけれども外観が大きく変わっています。 実物のような見せ方は抑え気味にして洗練する一方、動きはより本物らしくしたのです。

詳しく調べていくと、次に挙げるようなiOS 7の狙いがはっきりしてくるでしょう。

外観や使い勝手に根本的な変更を施した結果、iOS 7上で動作するアプリケーションは、その目的や機能がすぐにユーザに伝わり、また使ってみたいと感じさせることができるようになりました。こういった特徴をすぐにすべて活かすことは難しいかも知れませんが、iOS 7上で動作するようアプリケーションを更新する際には、ぜひ頭に入れておいてください(再設計して作り直す、あるいは新たにプロジェクトを作って開発を始めるのであれば、 “Designing for iOS 7” が参考になるでしょう)。

アプリケーションの特性

アプリケーションを再設計するにせよ、現在の設計のままで更新するにせよ、その作業にアプリケーションの特性がどう影響するか把握しておく必要があります。まずは次の観点から方針を検討するとよいでしょう。

移行の方針を固めるため、次にアプリケーションのカスタマイズ方法を検討します。カスタマイズの分量や、そのために用いた技法によって、必要な作業が変わってきます。

次の3つのうち、どれに当てはまるか考えてください。

「標準」アプリケーションの場合、そのままiOS 7環境に持っていっても、外観や使い勝手に問題がないか判断してください。レイアウトや対話方式を変更する必要がなければ、若干の微調整に加え、システム全体で有効な新しいジェスチャを、適切に処理できるようにするだけです。

「独自開発」型、すなわちUIKitのUI要素を使っていない場合、より慎重な検討を要します。そのままでも外観や使い勝手が良好であれば、ほとんど作業は発生しません。一方、iOS 7のユーザ向けにアプリケーションの性格や使い勝手を変えたいと思うならば、多くの作業が必要になるでしょう。

「混成」型であれば、施したカスタマイズの内容や、標準要素との組み合わせ方によって、必要な作業量は変わります。全般的な設計を再考することに加え、カスタマイズした部分が良好に動作するか、標準要素とうまく融合した外観になるか、も検討しなければなりません。